赤ワインのボディって?代表的な品種は?
赤ワイン初心者のための赤ワイン基礎知識
赤ワインってどんなワインかご存知ですか?ワイングラスに注がれた1杯の赤ワインには、知っているようで知らない、奥深い世界が広がっています。
赤ワインの製法や種類を知ることで、もっと赤ワインを美味しく楽しめるのです。ぜひ、今回の記事を読んでいただき、赤ワインの奥深さを感じてみてください。
そもそも赤ワインとは。白ワインと何が違うの?
ワインには「赤ワイン」と「白ワイン」が存在します。その名のとおり、赤ワインは赤い色をしたワイン、白ワインは白に近い透明な色をしているワインを指しますが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか?そもそも赤ワインとはどんなものなのでしょうか?詳しく紐解いていきましょう。
赤ワインはどうやって作られる?
赤ワインの原料は皮が黒っぽい色をしている黒ブドウです。収穫されたブドウの実を皮や種ごとすりつぶして、発酵槽に入れて発酵させます。ここで酵母が働き、ブドウに含まれている糖分がアルコールへと変化します。しっかりとブドウの色素を抽出してワインに色をつけるため、発酵が進んだら果汁を撹拌します。こうして果汁からワインが出来上がるのです。
その後、果汁(ワイン)と皮や種を分離するのですが、皮や種にも果汁(ワイン)が含まれているので、圧搾して残らずワインを抽出します。
圧搾が終わったワインは樽に入れ、熟成という工程に入るのです。6ヶ月~3年ほど寝かした後に、浮遊物を沈殿させて上澄みの部分を取り出す澱引きを行います。卵白などを使ってワインを清澄化(セイチョウカ)し、ろ過して濁りがないワインを瓶詰めにします。なお、ろ過しすぎるとワインの味わいが失われる場合もあるため、最近では敢えてろ過をしていないワインも多くなってきました。
以上のような多くの工程を経ることで美味しいワインが仕上がり、私たちの手元に届くのです。
赤ワインの味わいの特徴
赤ワインは味が濃く、渋みや酸味があるのが特徴。とりわけ渋みは赤ワインに欠かせない要素で、渋みが強いかどうかが分類の指標の1つとなっているほどです。
赤ワインは果汁だけでなく皮や種も使うのは前述のとおりですが、発酵させる過程で皮や種からタンニンという成分が果汁に染み出してきます。このタンニンこそが赤ワイン独特の渋みを作り出しているのです。渋みは原料である黒ブドウの品種や、気候、醸造方法などによって異なります。
ブドウの果実味と渋み、酸味が複雑に混じり合った深くて重厚な味わいが赤ワインの魅力なのです。
赤ワインと白ワインの違い
赤ワインと白ワインの大きな違いは原料です。黒ブドウが赤ワインの原料となっているのに対して、白ワインは皮が白っぽい色をしている白ブドウが原料として使われます。
また、製法にも大きな違いがあるのです。赤ワインは先ほどご説明したように、収穫した赤ブドウの実をすりつぶし、皮や種と一緒に発酵させて、その後に圧搾して皮や種を取り除きます。白ワインの場合はブドウの実をすりつぶした後に圧搾して皮や種を取り除いてから、果汁のみを発酵させます。赤ワインのように皮や種に含まれる色素が果汁に染み出さないので、白っぽい透明なワインが出来上がるのです。ちなみに、黒ブドウを使っても最初に圧搾を行えば白ワインになります。
こうした製法の違いは味の違いにもつながります。赤ワインはタンニンの渋味が感じられる味わいが特徴ですが、果汁のみを使用した白ワインは渋みが少ないフルーティな味わいが特徴です。スッキリとしていて魚料理や野菜と相性が良いとされています。
赤ワインの味わいを表現する「ボディ」とは?
ワインを選ぶときに「ボディ」という言葉を耳にしたことはありませんか?直訳すると「体」という意味になりますが、ワインの場合は香りや口に含んだときの味を表す指標のことを指します。このボディの意味を知れば、自分好みのワインを選ぶことができるようになるのです。
3種類のボディ
赤ワインには「フルボディ」「ミディアムボディ」「ライトボディ」という3種類のボディに分類されます。それぞれどのような意味があるのか見ていきましょう。
フルボディ
赤ワインの中でも特にコクが深く、濃厚な味わいや香りが楽しめるワインです。渋みや酸味が強くてアルコール度数も高いので、飲むと重たさを感じるかもしれません。
フルボディのワインは飲みごたえがあるという方もいらっしゃる一方で、「重たすぎる」「味が濃すぎる」と感じる方も多く、好き嫌いがはっきり分かれる傾向があります。
ミディアムボディ
フルボディとライトボディの中間に位置します。程よい渋みや酸味、香りがあり、フルボディよりもスッキリした口当たりが特徴です。最もバランスが良く、多くの人が受け入れやすいワインと言えます。
初心者の方はミディアムボディを試してみて、少し物足りないならフルボディ、重く感じるならライトボディに変えるというように、好みに合わせて選んでいくと良いでしょう。
ライトボディ
その名のとおり、“軽い”ワインです。ミディアムボディよりも渋みや酸味が少なく、スッキリとした口当たりとさっぱりとした果実味が感じられます。赤ワイン特有のクセが苦手な方でも飲みやすいワインです。アルコール度数もフルボディやミディアムボディと比べると低い傾向があります。
普段フルボディを好んで飲まれる方にとっては「少し物足りない」と感じられるかもしれません。
ボディは何で決まる?ボディを決める要素とは
ボディを左右するのは主に「ポリフェノール」「残糖分」「アルコール度数」という要素が挙げられます。
ポリフェノール
ポリフェノールはブドウの皮や種に含まれている成分のこと。先ほど、タンニンという成分が赤ワインの渋みと関係していることをご説明しましたが、このタンニンもポリフェノールの一種です。ポリフェノールの含有量が多ければ多いほど、赤ワインの渋みが強くなります。フルボディの赤ワインはポリフェノールが多め、ライトボディの赤ワインは少なめです。ちなみにポリフェノールは体の酸化を防ぐとされていて、健康に良い成分としても知られています。
残糖分
ブドウの果実には糖分が含まれていますが、醸造する過程でアルコールに変化します。アルコールに変化しなかった残糖分が多ければ多いほどワインの甘みが強くなります。
当たりが良くて甘いライトボディの赤ワインは残糖分が多く、渋みが強いフルボディは残糖分が少ない傾向にあります。
アルコール度数
アルコール度数はワインの味を左右する最も大きな要素です。アルコール度数が高ければしっかりとした飲み応えが感じられ、逆にアルコール度数が低いワインはスッキリとした繊細な口当たりが楽しめます。フルボディはアルコール度数が高く、ライトボディはアルコール度数が低いものが多いです。
ボディはどうやって決まる?
実はワインのボディは明確な基準があって決められているわけではありません。タンニンの含有量やアルコール度数などの目安はありますが、ボディは口に含んで「どんな味わいがあるか」「どれくらい重いのか」といった主観的な尺度で決められます。あくまで「味」や「香り」で分類されるため、数値を使った基準では決められないのです。
味の感じ方は人それぞれ。ライトボディと書かれていても人によっては「重い」と感じられる場合もありますし、フルボディでも「物足りない」と感じる場合もあり得ますので、目安として捉えておくと良いかと思います。
ちなみに、ボディとワインの品質はイコールではありません。フルボディだから品質が高い、ライトボディだから品質が低いというわけではなく、あくまで味や香りが異なるだけです。フルボディの高級ワインもあれば、ライトボディの高級ワインもあります。
赤ワインの代表的なブドウ品種
赤ワインの原料である黒ブドウは、さまざまな産地あるいは品種のものが使われ、それぞれ味や香りも大きく異なります。赤ワインに使われる代表的な黒ブドウの特徴を見ていきましょう。
カベルネ・ソーヴィニヨン
ワイン産地で有名なフランスボルドー地方原産の黒ブドウの中でも特にポピュラーな品種です。色合いが濃く、タンニンがたっぷりと含まれているため、渋みとコクが深いボルドーワインに仕上がります。濃厚な赤ワインがお好みの方におすすめ。渋みがはっきりしているので、牛肉、特に赤身を使ったステーキなどと相性バツグン。お肉の旨味をしっかり引き立ててくれます。
マライ レゼルヴァ カベルネ ソーヴィニヨン / ビーニャ・タバリ
メルロー
カベルネ・ソーヴィニヨンと同様、フランスのボルドー地方を原産とする黒ブドウですが、現在ではワインの原料として世界中で栽培されているブドウ品種です。果実はプラムやブラックチェリーのような香りがします。カベルネ・ソーヴィニヨンと比較すると、タンニンの含有量が少ないため渋みはまろやかで、口当たりの良いワインとなります。特に赤ワイン初心者の方や、渋みが苦手な方にはおすすめです。ミートボールやハンバーグなど、まろやかな味付けの肉料理にぴったりです。
2021 デコイ・メルロ・カリフォルニア / デコイ
ピノ・ノワール
フランスのブルゴーニュ地方原産の黒ブドウで、果実からはイチゴやチェリーのような甘い香りがします。他の黒ブドウと比較すると透明感があるルビーのような色合いをしていて、タンニンの含有量は少なめです。ピノ・ノワールから造られるワインは程よい渋みと酸味が味わえます。甘酸っぱいソースを使った料理や軽めのおつまみ、スイーツにぴったり。料理の味を邪魔せず引き立ててくれます。
プナム ピノ・ノワール / プナムワインズ
シラー
フランスのコート・デュ・ローヌ地方原産の黒ブドウです。オーストラリアでは「シラーズ」とも呼ばれています。濃いガーネットの色合いと、胡椒のようなスパイシーな香りと味わいが特徴です。シラーを原料としたワインは渋みと果実味のバランスが良く、少しパンチが効いた味わいに仕上がります。特に胡椒などで味をつけたスパイシーな肉料理と相性がバツグン。お料理とワインの余韻に浸れます。
レンマノ チェアマンズ セレクションシラーズ / レンマノ
テンプラニーリョ
こちらはスペインで広く栽培されている黒ブドウで、スペインワインの原料として主流となっている品種です。現在ではフランスのラングドック地方やポルトガルでも栽培されています。スペインでは「貴族のブドウ」とも呼ばれていて、格調高い香りと繊細な味わいが楽しめます。酸味はやや強いですが、決して主張しすぎない、飲みやすいワインとなります。渋みとコクのバランスが良いので、中性的な味の料理に良く合います。和食や中華料理などに合わせるのもおすすめです。
ライサ・クリアンサ・リオハ / ヴィセンテ・ガンディア
ガメイ
フランスのボジョレー地方で栽培されている黒ブドウで、ボジョレヌーボーにもこの品種が使われています。比較的明るい色合いで、タンニンの含有量は少ないため、渋みもまろやか。フルーティボージョレ当たりが楽しめます。シンプルであっさりとした味付けの料理にぴったり。日本食にも良くマッチします。
【ハーフボトル】ジョルジュ・デュブッフ・ボージョレ /ジョルジュ・デュブッフ
赤ワインを美味しく飲む方法
もちろん、赤ワインはそれだけでも美味しく楽しめます。しかし、料理との相性や飲み頃にもこだわることで、赤ワインはもちろん、お食事もさらに美味しく感じることができるようになるでしょう。ここからは、赤ワインをより楽しむための2つのポイントをご紹介します。
相性の良い料理を知って、マリアージュを楽しむ
たとえば「日本酒のおつまみには塩辛が合う」、「ビールのおつまみには枝豆」というように、お酒によって合う料理やおつまみはそれぞれ異なります。特に赤ワインはそれが顕著に現れ、相性がぴったり合うと、ワインと料理がお互いの味を引き立てるようになるのです。
お酒と料理の相性が合った状態を「マリアージュ」と呼びます。フランス語で「結婚」という意味です。これまで他人だった夫婦が愛し合って1つの家庭を築くように、お酒と料理が調和して食卓を彩ります。
一般的に赤ワインは肉料理やチーズと合うとされていますが、黒ブドウの品種やワインのボディによって微妙に異なります。前章でもご紹介してきたとおり、たとえば渋みが強いカベルネ・ソーヴィニヨンなら赤身のステーキ、口当たりがまろやかなメルローならミートボールやハンバーグなどと相性が良いです。
ただ、品種と相性が良い料理を1つ1つ覚えておくのは大変。そこで、ボディごとにどんな料理が合うのかという傾向を知っておくのがおすすめです。これだけでもマリアージュを楽しめるワインをチョイスすることができます。
渋みが強くて味が濃いフルボディのワインには、やはり濃いめの料理が良く合います。牛肉や豚肉、鶏肉などの肉料理でかつウスターソースやデミグラスソースなどの濃厚な味付けの料理と相性ぴったり。具体的にはビーフシチューやハンバーグなどが挙げられます。ステーキや焼き肉にもおすすめです。逆にシーフードなどのあっさりとしたものと合わせると、ワインの渋みやコクが料理の美味しさを打ち消してしまうことになります。
渋みが穏やかで口当たりがなめらかなライトボディのワインには、あっさりとした味付けの料理がおすすめ。豚肉や鶏肉、シーフード、野菜などの素材を、醤油やトマトソースなどで、さっぱりとした味付けした料理に良く合います。具体的にはスパイシーなカレーやマリネ、サラダなど。味付けがあっさりとしている和食にもピッタリです。ライトボディのワインに味付けの濃い料理を合わせると、ワインの味が薄く感じられて「ちょっと物足りないかな」と感じるかもしれません。
中間であるミディアムボディは牛肉にもシーフードにもぴったり。醤油やトマトソースなどのあっさりめのものから、デミグラスソースなどの少し濃いめのものまで、幅広く対応できます。濃い味付けの料理と薄い味付けの料理がある場合や、ワインのチョイスに迷った場合は、ミディアムボディのワインを用意するというのも1つの手です。
濃い味付けの料理には濃い味のワインを、薄い味付けの料理には薄い味のワインというように、料理の味の濃さに合わせてワインを選ぶとマリアージュを楽しめます。
飲み頃の温度を知る
赤ワインは温度によって味や香りが変わり、それぞれ飲み頃の温度があります。タンニンが多く含まれているフルボディの赤ワインは16~18℃という比較的高めの温度で飲むと、少し角が取れたような、果実味あふれる飲み口となります。
ミディアムボディの飲み頃の温度は13~16℃。冷たすぎると渋みが強くなってしまうので、飲む10分前くらいに常温で慣らしておくと良いでしょう。
ライトボディの赤ワインは10~12℃が飲み頃です。渋みがそれほどないため、冷蔵庫で冷やしておくとブドウのフレッシュな果実味が楽しめます。
温度にもこだわってみると、よりワインが美味しくなります。ベストなのはワインセラーで温度管理をしっかりと行い、一定の温度を保つことです。しかし、ワインセラーがなくても、冷蔵庫の野菜室など一定の温度が保たれる環境で保管して、飲む前に常温で慣らすことで、十分ワインを美味しく楽しめるようになります。
まとめ
赤ワインにはさまざまな種類があり、それぞれ個性があることがご理解いただけたかと思います。赤ワインについて知ることで、ご自分の好みや料理との相性によってワインを選べるようになり、より美味しく楽しむことができるのです。今回の記事をきっかけに、赤ワインの奥深い世界を堪能いただけましたら嬉しいです。
AEON de WINEでは、さまざまな赤ワインを取り揃えています。ボディや相性が良い料理なども記載していますので、ぜひ参考にして選んでみてください。