ワイン通なら押さえておきたい5大シャトー。
歴史からワインの特徴まで徹底ガイド!
フランスの一大ワイン産地であるボルドーには「シャトー(城)」と呼ばれる、ぶどうの栽培から醸造、熟成、瓶詰めまでのすべての工程を行う生産者が数多く存在します。その中でも五大シャトーで造られたワインは別格。世界中の人々に愛されるボルドーワインの中でも最高峰の位置づけとなっています。伝統的な製法と絶え間ない技術の研鑽で、ほかのワインとは一線を画する存在で値段も高価ですが、愛好家であれば一度は味わうべきワインです。
今回は五大シャトーの基礎知識やそれぞれのシャトーの特徴、おすすめのワインやペアリングフードに至るまで徹底解説。この記事を見れば、五大シャトーのことがわかります。
五大シャトーってどんなワイン?
フランスのボルドー地方メドック地区には60ほどのシャトーが存在し、それぞれ5段階に格付けされています。最上である“1級”に格付けされたシャトーが五大シャトーと呼ばれているのです。前述のとおり、シャトーはぶどう畑と醸造所を所有し、原料であるぶどうの栽培から瓶詰めまでワイン造りのすべての工程を行っています。エレガントで華やかな味わいと香りが楽しめる、重厚な赤ワインの生産が盛んです。
高級ワインシャトーが集まるメドック地区について
五大シャトーがあるメドック地区はフランスのボルドー地方を流れるジロンド川の左岸に位置する地域です。下流部であるため温暖な海洋性気候であり、小石混じりの石灰質の土壌が香り豊かでまろやかなぶどうを育みます。
実はメドックのワイン造りの歴史は比較的新しく、16世紀から17世紀ごろに遡ります。当時は小石だらけでぶどうの栽培はとてもできないような場所だったのですが、オランダからかんがい技術がもたらされ土地が改良された結果ぶどうの栽培がさかんになりました。
メドック地区の中には「サン・テステーフ」「ポイヤック」「サン・ジュリアン」「リストラック・メドック」「モーリス」「マルゴー」という村があり、61ものシャトーが存在します。
【五大シャトーも選ばれた】メドックの格付けとは
1855年に開催されたパリ万国博覧会。当時すでにメドック地区のワインは世界中から高い評価を得ていたのですが、ナポレオン3世は博覧会の目玉としてメドック地区のシャトーを格付けすることを考えました。
ボルドー商工会議所がワインの仲買人の評価や取引価格を参考にして、メドック地区にある61のシャトーを5級から1級の5段階で評価。その結果、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」「シャトー・ラトゥール」「シャトー・マルゴー」「シャトー・オー・ブリオン」という4つのシャトーが1級に選ばれたのです。その後、1973年に「シャトー・ムートン・ロートシルト」が1級に昇格し、現在の五大シャトーになりました。
格付けは「シャトー・カントメルル」が5級に追加されたことと、シャトー・ムートン・ロートシルトが昇格したこと以外当時と変わらず、5大シャトーは長きに渡り名声を手にしてきました。
五大シャトーを構成するシャトー
ここからは五大シャトーを構成するそれぞれのシャトーの特徴や歴史、ワインについてご紹介します。五大シャトーのワインを飲む機会がありましたら、ぜひ思い出してみてください。
シャトー・ラフィット・ロートシルト
メドック地区のポイヤック村にあるシャトーで、ヴェルサイユ宮殿の晩餐会に振る舞われ、ルイ15世も愛飲していたことから、「王のワイン」と呼ばれています。当時王宮ではブルゴーニュワインがメインであったため、王族や貴族たちにシャトーワインの魅力を伝えた立役者とも言えます。
メドック格付けの際には最も高価であったため、五大シャトーの中でも筆頭格に君臨。エレガンスを感じさせる香りと味わいはまさに「王のワイン」にふさわしい風格。世界でもトップクラスのボルドーの中でも最高峰の五大シャトーの筆頭であるシャトー・ラフィット・ロートシルトはまさにトップオブトップ。当時の王族が飲んでいたワインを今も楽しむことができます。
シャトー・マルゴー
メドック地区マルゴー村にあるシャトーです。12世紀にすでに文献に記載されていたことから、五大シャトーの中でも歴史あるシャトーと言えます。
シャトー・ラフィット・ロートシルトが「王のワイン」なら、こちらは「ワインの女王」。五大シャトーの中でもっとも女性的で、華やかな風味はヘミングウェイやイギリスの初代首相であるロバート・ウォルなど数々の著名人を魅了。日本においても小説『失楽園』に登場する究極の赤ワインとして知られています。
メドック格付けの際にはテイスティングによる審査で数あるワインの中でも唯一20点満点を獲得。名実ともに女王にふさわしいものと言えます。
シャトー・オー・ブリオン
シャトー・オー・ブリオンはグラーブ地区ペサック・レオニャンにあるシャトーです。メドック地区外でありながらも、ボルドー地方のシャトーの中でも歴史が古く、あまりにも有名で評価が高かったため、例外的にメドック格付けに加えられました。
ナポレオン戦争敗戦後の1814年に開かれたウィーン会議の晩餐会でこのシャトー・オー・ブリオンが振る舞われた結果、各国首脳の態度が軟化してフランスの領土が失われるのを回避したことから「フランスの救世主」と呼ばれています。こうしたエピソードもあって、メドック格付けに選ばれたとも言われています。
メルロを長期熟成させることによって生み出される複雑かつ重厚な、ボディが厚い風味が特徴。世界で最もエレガントと評されているほどです。
シャトー・ムートン・ロートシルト
メドック地区ポイヤック村にあるシャトーです。前述のとおり、1855年の格付け当初は2級とされていましたが、1973年に1級に昇格した珍しいシャトーです。その背景にはロートシルト家の働きかけがありました。2級に格付けされた際に、「1級になることはできないが2級に甘んじることもできない。ムートンはムートンなり」とたいそう悔しがり、ぶどうの栽培方法や醸造所の設備、熟成の手法にいたるまで改良に改良を重ね、1973年に1級昇格を果たしたのです。その際にフィリップ・ロートシルト男爵は「われ第1級なりぬ、かつて第2級なりき、されどムートンは昔も今も変らず」という言葉を残し、伝統を守りながらも技術革新を繰り返し、その名声を維持しています。
ラベルはその時々の著名なアーティストに描かせていて、ダリやシャガール、ミロなどの著名な芸術家も手掛けていました。そのため、コレクターズアイテムとしても人気です。
ボルドー五大シャトーのワインの値段は?
さて、ここからは実際にAEON de WINEで取り扱っているボルドーワインと、それに合うおすすめの料理やおつまみをご紹介します。今回はワイン初心者の方にも手が届きやすいワインを2本ピックアップしました。ボルドーワインを手軽に味わってみてください。
「醸造の芸術家」が手がける選りすぐりの一本
1本目は「2018 シャトー・モンランドリー / シャトー・モンランドリー」です。アメリカのワイン評論家ロバート・パーカー氏に「醸造の芸術家」と言わしめたワインの造り手であるデュニ・デュランド氏がコート・ド・カスティヨンで手掛けています。栽培から熟成に至るまで徹底的にこだわり、厳密な管理下で造られた、世界中で高い評価を得ている渾身の一作です。
プラムジャムと木材の煙、ライラック、モレロチェリー、ブルーベリーがミックスしたような複雑な香りと、ミディアムからフルボディのしっかりとした口当たりとフレッシュな果実味が楽しめます。
おすすめのフードペアリング
やはりミディアムボディでしっかりとした口当たりと濃厚な味わいがあるので、それに負けない濃いめの味付けがされた肉料理がおすすめ。ビーフシチューやデミグラスハンバーグがよく合います。日本食とも相性が良く、寒くなるこれからの季節はすき焼きもぴったりです。
いちごジャムやキャラメルのようなアロマが漂うバランスが取れたワイン
2本目は「シャトー・ボワ・ペルチュイ / シャトー・ボワ・ペルチュイ」。鮮やかでエレガントなルビーのような美しい色合いで見た目も楽しめます。ブルーベリー、ブラックカラント……さまざまなアロマが漂い、口に含むといちごジャムとキャラメルのようなフルーティーで甘い風味が拡がり、長い余韻に浸ることができます。ミディアムボディで女性の方や渋みが苦手な方でも楽しめます。
おすすめのフードペアリング
比較的飲み口が軽めのワインなため、おつまみもナッツやチーズなど軽めのものがよく合います。フルーティーな香りと味わいがあり、ケーキやスイーツとの相性も抜群。ちょっとした晩酌からパーティーまで、さまざまなシーンで楽しめます。
まずは気軽に楽しんでみましょう!