モエ・エ・シャンドンのシャンパン「通称モエシャン」って普通のシャンパンとどこが違うの?
きらめく泡がゴージャスな「シャンパン」は、誕生日やクリスマスにぴったりな特別なワイン。「シャンパン」と聞いて「モエ・エ・シャンドン」を思い浮かべる人も多いと思いますが、他のシャンパンとどこが違うのでしょうか。
そもそもシャンパンの造り方って、ワインとどう違うの?今回は「モエシャン」をはじめとしたシャンパンのギモンに答えつつ、その魅力を深掘りします!
シャンパンとは?スパークリングワインとの違い
シャンパン(正式名称はシャンパーニュですが、以下シャンパンで統一します)の特徴は発泡性であることですが、スパークリングワインとはどこが違うのでしょうか。実はシャンパンもスパークリングワインの一種なのですが、産地と製法に特別な規定が設けられているのです。
一般的には、3気圧以上のガス圧を持っている発泡性のワインのことをスパークリングワインと呼びます。そして、そのスパークリングワインの中でも、フランス・シャンパーニュ地方で造られたスパークリングワインのことを「シャンパン」と呼んでいます。
同じような工程で造られたスパークリングワインとして、イタリアの「スプマンテ」、スペインの「カヴァ」、ドイツの「ゼクト」がありますが、フランスのAOC(産地の個性と品質を守る法律)によりシャンパンと呼ぶことはできません。
なお、3気圧以下の弱発泡性ワインは、フランスでは「ペティヤン」、イタリアでは「フリザンテ」と呼ばれています。
厳格に守られるシャンパンの伝統製法
シャンパンは産地だけでなく、製法も伝統的なシャンパーニュ方式で造られることがフラン
スのワイン法で定められています。
普通のワインはステンレスタンクや木樽で発酵・熟成させますが、シャンパンはまずベースのワインを造り、それをさらに瓶に詰めてから酵母と糖分を加え熟成させます。発酵によって瓶内に炭酸ガスが発生し、泡ができます。瓶内熟成期間は最低15ヶ月。長期間熟成により、泡がさらにワインに溶け込み小さくなっていきます。他のスパークリングワインよりもシャンパンの泡がきめ細かいのはこのためです。この製法は瓶内二次発酵といい、300年以上も前から受け継がれています。
モエといえばシャンパンの代名詞!モエ・エ・シャンドンとはどんなお酒?
正式には「モエ・エ・シャンドン」という名称が付いているモエシャン。世界でもっとも多く飲まれているシャンパンだと言われています。
それもそのはず、モエシャンを製造しているモエ・エ・シャンドン社のオーナー企業は、ルイ・ヴィトンを擁するLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)グループ。世界のファッション業界を席巻するLVMHの様々な舞台で、セレブたちにモエシャンが振る舞われ、彩を添えています。シャンパンタワーを広めたのもモエシャンと言われ、パーティーに欠かせない華やかなシャンパンとして世界中で愛されているのです。
なお、「ドンペリ」の愛称で呼ばれている高級シャンパンの代名詞「ドン・ペリニヨン」も、モエ・エ・シャンドン社が手掛けており、シャンパンのうちの最高級銘柄となっています。
世界のセレブが愛するモエ・エ・シャンドンの歴史
モエ・エ・シャンドンは1743年に創業。1748年には、フランス国王ルイ15世に気に入られて、フランス王室御用達のシャンパンとなっています。
その後、イギリスのヴィクトリア女王やフランス皇帝のナポレオン1世にもモエ・エ・シャンドンは愛されました。モエ・エ・シャンドンの3代目当主だったジャン・レミー・モエ氏は、ナポレオン1世から勲章を授与されています。
さらに、ナポレオン生誕100周年となる1869年に、モエ・エ・シャンドンのシグネチャーシャンパンとなる「モエアンペリアル」が誕生しました。
モエシャンの美味しさのヒミツ
モエ・エ・シャンドン社はシャンパーニュ地方最大級のブドウ畑を所有しています。畑の格付け最上位のグラン・クリュが50%、続くプルミエ・クシュが25%と、質・量ともに他のワイナリーを圧倒。良質なブドウから多彩なベースワインが造られ、さらにそれを醸造専門家が伝統的な手法と最新の設備で、最高品質のシャンパンへと昇華させます。豊富にストックされた様々なベースワインをブレンドさせることで、絶妙なバランスがとれたエレガントな味わいが完成するのです。
モエシャンの楽しみ方
シャンパンは冷やしていただくワインです。シャンパンの適温は8℃~9℃程度ですので、ワインセラーで冷やしながらボトルを寝かせて保管しましょう。ワインセラーがなければ、常温や冷蔵庫での保管でもかまいませんが、光が当たらないようボトルを新聞紙などでくるむと良いでしょう。
また、炭酸ガスが抜けてしまうため、モエシャンも空けたらその日のうちに飲みきることが基本です。万が一、残ってしまったときは、シャンパンストッパーなどで栓をして、できるだけ炭酸ガスを抜かないようにしておくことで翌日以降も比較的おいしくいただくことができますが、なるべく当日に飲み切るようにしましょう。
モエシャンのラインナップ
ひとくちに「モエシャン」と言っても、モエ・エ・シャンドン社では「モエ・エ・シャンドン」を冠したシャンパンがいくつも発売されています。
昔ながらのシャンパーニュ製法にこだわらず、近代的設備による革新的な醸造を行うモエ・エ・シャンドン社の個性溢れるモエシャンを5銘柄紹介します。
モエの象徴!モエアンペリアル
ナポレオン生誕100周年を記念して、皇帝(=アンペリアル)の名前を冠して造られたのがモエアンペリアル。モエシャンを象徴するスタンダードなシャンパンです。
ブドウ品種は、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの3種。ノンヴィンテージでも2年間熟成させており、フレッシュでエレガントな味わいが楽しめます。
ロゼアンペリアル
モエアンペリアルよりもピノ・ノワールの割合が高く、鮮やかなピンク色が美しいロゼシャンパン。野イチゴのような赤いフルーツの香りと、フルーティーでいきいきとした果実味が特徴です。力強さと熟成感を併せ持ち、食前酒から、サーモンなどの魚介料理やボリュームのある肉料理まで、幅広い料理に合わせられます。
ネクターアンペリアル
やや甘口の果実味が感じられるモエシャンです。シャンパーニュ地方では、果実のほのかな甘味が感じられるときには「ネクター」と表現しており、それが名称に付けられました。
パイナップルやスモモ、グレープフルーツを思わせるフルーティーな味わいが、ハーブ、香辛料を使ったインド料理や中華料理などによく合います。
アイスアンペリアル
2015年から発売されている、氷を入れて楽しむモエシャンです。氷が溶けても美味しくいただけるよう、濃いめの甘口となっており、マンゴーやグァバなどトロピカルフルーツにショウガのスパイスが香るシャンパンです
なお、フランスではシャンパンに氷を入れる「ピシン(プール)」という飲み方があり、夏のプールサイドで親しまれています。
グランヴィンテージ
ブドウの出来が良かった年だけ造られる「ヴィンテージシャンパン」は、通常最低3年間の熟成が義務付けられていますが、モエシャンは7年間も熟成させています。
熟成によりさらに増した芳醇な香りと旨味が、得も言われぬ心地よい世界へと誘ってくれます。
最新ヴィンテージは2013年です。
料理に合わせやすいモエシャンは初心者にもおすすめ!
赤ワインや白ワインは合わせる料理を選びますが、モエシャンのようなシャンパンはどのような料理でも合わせやすいと言えます。
とくにモエシャンは酸味と果実味のバランスが絶妙で、そのふくよかな味わいは、フランス料理はもちろん、スパイシーなエスニック料理や中華料理、繊細な和食や懐石料理、さらにスイーツまで、どんな料理にも合わせられるオールラウンダー。食前酒としてはもちろん、食中酒、食後酒にもぴったりです。見た目が華やかなので、料理を引き立ててくれる効果もあります。
おすすめは、シャンパーニュ地方で造られている白カビチーズと合わせること。クリーミーな泡とのハーモニーは絶品です。
人気のモエシャンはさらに価格高騰!?
そんなおいしいシャンパンですが、残念ながら地球温暖化の影響によりここ数年、生産量が減少しています。それに加えて、中国市場でも高級ワインの消費が増え価格高騰に拍車をかけています。
モエシャンも人気で、以前はシャンパンの中では比較的買い求めやすい価格だったのが、品薄のため価格が高騰しています。
さらに折からの円安で、今後もさらに価格上昇が予想され、モエシャンを買うなら少しでも早いうちがおすすめです。幸いシャンパンはセラーに入れておけば何年でも保存できるので、モエシャンをいつまでも飲みたい!という方は、ぜひお早めにご購入ください。