暑くなってくる初夏にピッタリの白ワイン。爽やかですっきりとした味わいを持つ、白ワインの魅力をお伝えします!
赤ワインに比べて口当たりが軽く気軽に飲むことができる白ワインは、暑さが増してくる初夏~盛夏にぴったりのワインです。赤ワインと白ワインの違いは、見た目の色の違いだけではありません。そのほかにも、醸造卯方法や味わいなど、大きな違いがあります。
そこで今回は、白ワインの特徴や魅力、白ワインと合わせたい料理などについてご紹介します。
産地ごとにこんなに違う!白ワインの味わい
ワインのブドウを栽培している土地の気候や土壌、日当たりなど、その土地の個性のことを「テロワール」と呼びます。このテロワールは、ワインの味わいを決める大事な要素となっています。
ブドウの品種が同じだったとしてもテロワールが異なっていると、一方はエレガントな味わいになれば、一方は力強い味わいになることもあります。ブドウの産地ごとにテロワールが異なるわけですから、ブ白ワインの味わいはブドウの産地ごとに大きく違ってくるわけです。
よく聞く産地の「旧世界」と「新世界」ってなに?
ワインは産地によって、「旧世界」と「新世界」と分けられることがよくあります。この旧と新を分ける基準は、1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見し大航海時代にあります。大航海時代より前からワインを生産していた国の伝統的なワインは旧世界ワイン、それより後からワインを生産するようになった国の革新的なワインは新世界ワインというわけです。
旧世界ワインの代表的な国として、以下にフランスとイタリアを紹介します。また、新世界ワインの代表的な国として、以下にアメリカと日本を紹介します。
【旧世界】ワインの王国、フランス
旧世界の最大のワイン大国はフランスです。フランスはボルドーやブルゴーニュという産地でつくられた赤ワインが有名ですが、白ワインも多く生産されています。ボルドーではソーヴィニヨン・ブランやセミヨンというブドウ品種からつくられた爽やかな酸味を持つ辛口白ワイン、ブルゴーニュではシャルドネからつくられたフルーティーな香りを持つ白ワインが有名です。
【旧世界】味のバラエティに富むイタリア
縦に長い国土を持つイタリアは、冷涼な気候の北部と温暖な地中海型気候の南部まで、様々なテロワールを持っています。ブドウ栽培に適した土地も多いため、ワインの生産量も常に世界1位、2位を争っています。そのため、イタリアの白ワインは種類、価格とも幅広いバリエーションがあり、甘口白ワインから辛口白ワインまで取り揃えています。
【新世界】欧州に匹敵するワイン産地、アメリカ
新世界ワインの代表格であるアメリカでは、ワインの90%がカリフォルニア州でつくられ、残りはワシントン州やオレゴン州などでつくられています。カリフォルニアの白ワインは、豊かなアロマを持ち、果実のボリュームがパワフルなところが特徴です。主に、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランから白ワインがつくられていますが、リースリングから作られているワシントン州の白ワインも有名です。
【新世界】徐々に支持を集める日本
本格的にワインが生産されるようになったのは、ここ20年~30年のことですが、徐々に世界で支持されるようになってきた新世界ワインが日本です。もっとも有名なのは、日本固有のブドウ品種である「甲州」による白ワインです。高品質で繊細な味わいを持つ甲州種の白ワインは、和食にも良く合うことから世界のソムリエからも注目されています。
進化は止まらない!技術と白ワイン
果汁に酵母に加えるだけでアルコール発酵が行われ、ワインは出来上がります。しかし近年では、ワインの醸造過程に最新技術を活用することで、より高品質な白ワインを製造する試みが行われています。ここでは、赤ワインのように白ワインが出来上がる「スキンコンタクト」という醸造方法、日本で行われている最新技術を活用したブドウ栽培方法や柑橘香強化技術を紹介します。
赤ワインと同じ製法?ブドウの皮を果汁に漬け込む「スキンコンタクト」
ブドウの果実を圧搾する前に、ブドウの果皮と果汁をしっかりと漬け込んでいく作業のことを「スキンコンタクト」と呼んでいます。白ワインは通常、ブドウの果実を破砕した後にすぐ圧搾し、ブドウ果汁だけをアルコール発酵します。
赤ワインは、ブドウの果皮と種子を果汁と一緒に浸漬させ、その醪からアルコール発酵をします。スキンコンタクトは、白ワインを赤ワインと同じ製法でつくるということなのです。
白ワインは雑味を取り除くために、アルコール発酵するときに果皮と種子を入れません。しかし、スキンコンタクト製法では逆に、果皮や種子しか持っていない成分を入れて、深みのある味わいに仕上げていくのです。
スキンコンタクトを採用して白ワインをつくると、ブドウが持っているバナナやパッションフルーツの香り、バラの花の香り、ヤマユリの香りなど、特徴香と呼ばれる香りがより多く含まれるようになります。
最新技術をフル活用してブドウ栽培を効率化しよう!
近年、ロボット技術やIT技術などを活用したスマート農業が話題となっています。ワイン業界でも、ドローンなどの最新技術を用いることでブドウ栽培を効率化する「ブドウ精密栽培」が行われています。アメリカやオーストラリア、ヨーロッパでも行われているこの栽培方法は、日本の長野県でもスタートしています。
ワイン用のブドウ栽培はこれまで、経験と勘だけに頼っていましたが、技術とテクノロジーを取り入れ、様々なIoTデータに基づきながらブドウの品質を向上させ、ブドウ栽培を効率化していこうとしてます。この試みは信州ワインバレー構想と呼ばれています。
日本発!より香りを豊かにする「柑橘香強化技術」とは
ソーヴィニヨン・ブランには、グレープフルーツのような柑橘香があります。この爽やかな香りを日本の土着ブドウ品種である甲州を使用した白ワインでも放つ「柑橘香強化技術」が2007年に開発されました。これを発見したのは日本のワインメーカーであるメルシャンです。この技術は甲州種以外でも応用できますので、現在、国際特許出願中になっています。
白ワインに合う料理とは?
「赤ワインには肉料理、白ワインには魚介料理」とはよく聞くセリフですが、白ワインに合うのは魚介料理だけではありません。そこでここからは、白ワインに合わせる食材を選ぶ方法と、これからの季節に合わせたい食材を紹介します。
基本は食材の色で合わせる!
白ワインに合う食材の基本は近い色を選ぶことです。タイやヒラメ、サワラ、スズキなどの白身魚、牡蠣などの貝類、甲殻類などは白ワインに合う食材の代表的なものです。クラムチャウダーや鶏肉のクリーム煮なども合うでしょう。鶏、ウズラ、ウサギなど、白身であれば、肉料理でも白ワインとよく合います。逆に、赤身の魚や肉には鉄分が含まれていますので、白ワインと合わせると臭みを感じることもあります。
香り・風味で合わせるのも◎
その白ワインと似ている香りや風味を持つ食材を選べば、その料理は飲もうとしているワインと合うようになります。たとえば、ソーヴィニヨン・ブランの白ワインはハーブの香りを感じますので、ハーブを使った料理が、樽熟成をしたシャルドネの白ワインはナッツを使った料理やスモークした料理が、スパイシーな香りがするゲヴュルツトラミネールの白ワインはスパイスを使った料理がよく合います。
白ワインの産地と食材の産地を組み合わせる
ブドウを栽培している土地の気候や土壌、日当たりなどの「テロワール」を考えて、白ワインの産地と食材の産地を組み合わせることで、白ワインと料理がよく合うようになります。料理の産地までわからなければ、フランス料理にはフランスの白ワイン、イタリア料理にはイタリアの白ワインなど、まずは国ごとから初めてみましょう。白ワインの産地が分かれば、たとえば、「海に近い場所や島で生産された白ワインならシーフード」といった組み合わせが良いでしょう。
もうすぐ初夏!白ワインに合わせたい料理は?
気温が高くなってくる初夏には、爽やかでフレッシュな白ワインがピッタリです。すっきりとしてキリッとした酸味がある白ワインの代表格にフランスのシャブリがあります。シャブリはミネラル感があることから牡蠣がよく合うとされています。初夏は生牡蠣の季節ではありませんが、岩牡蠣の旬は5月~8月とされています。
そのほか、初夏にはこってりとした料理よりは和食やシンプルな味付けの料理が食べたくなりますが、やはりこういった料理には赤ワインよりも白ワインがおすすめです。
おすすめの白ワイン
「AEON de WINE」で販売しているワインのうち、初夏の季節にピッタリの白ワインをセレクトしてみました。蒸し暑さも増してくるこの季節です
ブシャール・エイネ・エ・フィス シャブリ
フルーティーでフレッシュな味わいと、キレの良い口当たりを持つ白ワインです。フランス・ブルゴーニュ地方のシャブリ地区で生産されるシャブリワインは、辛口白ワインの代名詞とも呼ばれています。ブシャール・エイネ・エ・フィス シャブリは、シャルドネからつくられており、レモンやライムなどの香りが特徴です。牡蠣はもちろん、魚介のマリネや小エビのフリットなどのシーフード、チキンのハーブソテーなどの鳥料理によく合います。
> ブシャール・エイネ・エ・フィス シャブリ
マーク・セラーズ シャルドネ
アメリカ・カリフォルニアのシャルドネ種を使用した白ワインです。フレッシュでフルーティーな味わいが特徴で、ゴールデンアップルやオレンジの花、グァバのアロマにかすかなバニラやスパイス香を感じさせてくれます。チキンサラダやチーズのピザ、イカフライなどの料理によく合います。
> マーク・セラーズ シャルドネ
ラフィーユ トレゾワ 甲州リッチネス
甲州種を使用して、地下貯蔵庫で長期熟成した日本・勝沼産の白ワインです。長期熟成したことで、輝きと透明感あふれる黄金色の白ワインに生まれ変わりました。黄桃、杏のコンポートやトロピカルフルーツ、蜂蜜のニュアンスを持つのが特徴です、口に含むと、貴醸酒のような熟成感と複雑味が口中に拡がり粘性すら感じる味わいがリッチです。食前酒として飲むのも良いですし、厚切りベーコンのホイル焼きや豚カツといった洋食によく合います。
> ラフィーユ トレゾワ 甲州リッチネス
白ワインで優雅で楽しいひとときを
爽やかでフレッシュな味わいを持つ白ワインは、これから暑くなってくる初夏~盛夏にピッタリのワインです。
醸造技術でも現在進行形で進化し続ける白ワイン。これまで飲むのは赤ワインばかりで「白ワインは薄い」と飲まず嫌いをしていた人にも、白ワインの魅力が伝わってきたのではないでしょうか?優雅で奥深く、芳醇な白ワインを是非味わってみてください。