飲みやすくてオシャレな新トレンド!缶入りワインの楽しみ方をお伝えします!
最近は瓶入りワインの代替品として、紙パックやプラスチック容器に入ったワインが、数多く売られるようになりました。
そのひとつに、アメリカを中心に大きな話題を呼んでいる、「缶入りワイン」があります。缶入りワインはいつでも手軽に飲めるカジュアルなワインとして、いま人気急上昇中です。
そこで、缶入りワインの魅力や歴史について、ご紹介しましょう。
そもそも缶入りワインとは
缶入りワインとは、アルミ缶やスチール缶などの容器に入ったワインのことで、瓶入りワインと同じように「赤」「白」「ロゼ」「スパークリング」の4種類があります。
缶ワインの人気は、ここ10年でうなぎ上り!かつてはワインといえば瓶と決まっていましたが、今は「スーパーで缶入りワインをよく見かける」という人も、多いのではないでしょうか?
さらに缶ワインは、航空機内でも提供されるようになりました。今後はますます需要が高まっていくに違いありません。
缶入りワインの魅力
ワイン好きの方の中には、「ワインは瓶が一番」という先入観を持たれている方も、いるかもしれません。
でも、缶で飲むワインには、実はとても多くの利点があるんですよ!瓶入りワインとはまた違った、缶入りワインならではの魅力について、お話ししましょう。
飲みやすいサイズ感
瓶ワインの大半は750mlですが、缶ワインは基本的に200ml~375mlの容量で販売されています。そのため、一人で飲みたいときなどに「ボトルワインだと量が多過ぎる」という人でも、缶入りワインならちょうど飲み切ることができるでしょう。
特にスパークリングワインの場合、缶ワインのメリットは絶大です。スパークリングワインは、いったんボトルを開栓するとしばらくして気が抜けてしまうため、「途中で残して捨ててしまった」という経験がある方もいるかもしれません。
その点缶入りワインなら、その日に飲み切ることができるサイズなので、飲み残しがないのは嬉しい点です。
道具を必要としない気安さ
ボトルワインを飲むときは、オープナーやグラスを用意しなければなりませんが、缶入りワインはその必要がありません。プルタブを「ピッ」と開けるだけで、またはスクリューを捻るだけで、いつでも気軽に飲むことができます。
グラスを割ったり、注ぐときにこぼしたりする心配もなく、片付けるときも缶を捨てるだけなので楽チンですね。
飲むシチュエーションを選ばない手軽感
どこでも持ち歩いてすぐに飲めるのも、缶入りワインの大きな魅力です。たとえば飲み物が禁止されているスタジアムや公園でも、缶ワインなら飲むことができます。ピクニックやバーベキューのときなども、戸外で手軽にワインを飲むことができるでしょう。
また、「ボトルワインを開けるのは敷居が高くて」と感じるワイン初心者の方でも、缶ワインなら気軽に買って飲むことができます。
缶はボトルに比べて格段に軽いので、持ち運びも簡単!キャンプに、スポーツ観戦にと、シチュエーションを選ばずにワインを楽しむことができます。自宅でいつもボトルワインを飲む人は、「外出するときだけ缶入りワインを持って行く」という選択肢もあるでしょう。
ラベルのポップさ
缶ワインはボトルワインに比べてデザイン性が高く、お洒落なラベルやユニークなラベルなど、自由自在にパッケージを創造することができます。
そのため、その日の気分に合わせてデザインを選んだり、SNS映えも狙うことができるでしょう。パッケージのポップさやカラフルさで瓶入りワインと一線を画しているのも、缶入りワインの特徴のひとつです。
環境への配慮
「ワインはおいしいけれど、飲むと瓶が溜まってしまって大変」と思っている方も、いるのではないでしょうか?毎日ワインを飲む方は、あまりにかさばる空瓶の置き場所に、困ったこともあるかもしれません。
ボトルワインに使われる瓶の多くは、再利用ができないワンウェイボトルなので、環境への負荷も気になるところです。
その点、アルミ缶は瓶に比べて小さく潰して捨てることができ、リサイクル率は93%(2018年)。製造や輸送などで排出される二酸化炭素の量も、瓶に比べて少ないので、環境への配慮が行き届いています。
缶入りワインの歴史
このようにたくさんのメリットを持つ缶入りワインですが、缶で飲むワインを一朝一夕につくることができたかというと、けっしてそうではありません。その販売には長い年月がかかり、缶入りワインが誕生するまでには、実にさまざまな苦労がありました。
長年の苦戦
缶で飲むお酒と言えば、代表的なのは缶ビールですね。缶ビールが発売されたのは1935年。その翌年の1936年には、すでに缶によるワインの販売は試みられていました。
しかし、缶の中でワインの品質を保つことは非常に難しく、質の高い缶入りワインをつくることは至難の業でした。缶ワインをつくるのがなぜ難しかったかというと、缶のような気密性の高い容器にワインを入れると、還元臭が発生するなどの問題があったからです。
そして何十年にもわたり、美味しい缶入りワインを製造するための試行錯誤が重ねられました。Wine and Vines誌では、このことについて次のように記しています。
「米ワイナリーは当初、ビールを缶に入れることに初めて成功した翌年の1937年に、ワインを缶に入れることを試みた。しかし、これらの試みは全て、主に缶製品の中に安定した品質のワインを入れることができなかったことにより失敗に終わった」
当時の缶入りワイン開発がいかに困難だったかが、おわかりいただけるでしょう。
市場流通の実現
そんな苦しい缶入りワインづくりに一筋の光を見出したのが、オーストラリアのバロークス社でした。多くの企業が苦戦する中、バロークス社は20年以上に渡って研究開発を行った結果、缶の内側をコーティングすることによってワインの品質を維持することに成功したのです。
「VINSAFE」と呼ばれるこのパッケージングシステムは、缶入りワインの品質を5年間保持することができ、特許も取得しました。この画期的な技術によって、ようやく缶入りワインは世に出ることとなりました。
現在の幅広い人気
このようにして人々のもとに届くようになった缶入りワインは、2010年代初頭から急激に人気を博し始めました。
そして2019年には、世界で初めて缶入りワインのみの国際コンペ、「2019 International Canned Wine Competition」が開催されるまでになったのです。評価にあたっては、「ワインの味と質」と、缶入りワイン特有の「パッケージデザイン」という、2つの軸で審査が行われました。
アメリカでの缶入りワイン
缶入りワインブームの火付け役であり、最も缶入りワインが消費されている国といえば、アメリカです。では、いまアメリカの缶入りワインの状況は、どのようになっているのでしょうか?
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まだボトルワインが主流であるとはいえ、2012年に200万ドルだった缶入りワインの市場は、2020年7月現在には1.84億ドルにまで拡大しました。
10年にも満たない間に、缶ワインの売上は92倍にまで跳ね上がったのです。さらにまだ、成長の余地を残しているほど、缶ワインの需要は高まっています。
ビール業界もかつては瓶ビールが主流でしたが、いまやお酒売場で売られているビールの多くは、缶ビールです。缶ワインがお酒売場を席巻する日も、そう遠くはないかもしれませんね。
2019年に開催されたアメリカンフットボールのプロリーグ「NFL」の公式ワインスポンサーとして、缶入りワインが選ばれたことからも、その人気が伺えます。
ミレ二アル世代からの絶大な支持
缶入りワインがここまでの支持を集めた背景には、1981年~2000年にアメリカで生まれた「ミレニアム世代」と呼ばれる人たちから、缶ワインが絶大な支持を得たことが影響しています。2010年代初頭から、ミレ二アム世代は、缶入りワインの売上を伸ばしてきました。
アメリカではワイン消費の17%をミレニアム世代が占めていますが、若い人々はワインの容器にこだわらない傾向があり、缶入りワインに対する抵抗もありません。そのため、缶ワインの強固なファンベースとなったのです。
容器へのこだわりよりも、むしろ手軽さや持ち運びの便利さといった点こそが、ミレニアム世代がワインを選ぶ上で大きなポイントとなったのでしょう。
缶入りワインは単なるブームでは終わらず、ミレニアル世代から他の世代へと、支持の波が広がりました。今では年代を問わず、幅広い世代の人々に愛飲されています。
日本での缶入りワイン
アメリカを中心として広がった缶入りワインの人気ですが、日本ではどうなのでしょうか?国内ではまだマイナーな風潮がありながらも、着実に売上を伸ばしつつあります。そんな日本国内の缶入りワインの現状を、ご紹介しましょう。
徐々に普及しつつある缶入りワイン
日本の国内でも、缶入りワインは徐々に普及しつつあります。ワインの消費量自体も増えてきており、ワインを飲む日本人の人口は、今後も増えていく可能性が濃厚です。
そんな中、国内では実績あるワイナリーとして有名な山梨県の「モンデ醸造」が、缶入りワインの製造を手がけています。また、「大和製罐株式会社」は、ワインの味をしっかり守る専用のアルミ缶を開発するなど、着々と日本ならではの缶ワインを育てつつあります。
日本の気候風土で生まれた味わいあるワインが、缶入りワインとしてこれから普及していく日も近いでしょう。
日本ではアウトドア派から人気
缶入りワインはグラスやオープナーも必要なく、飲みたい分の缶数だけ持って気軽に出かけられるので、日本ではキャンプなどの好きなアウトドア派に好まれる傾向にあります。
軽くて持ち運びしやすく、いつでもどこでも飲める缶入りワイン。冬場は湯煎して、ホットワインとして楽しんでもいいですね。
コロナ禍での「家飲み」流行による需要増加
新型コロナウイルスの影響で、自宅でお酒を楽しむ機会がとても増えました。自宅でワインを飲むとなると、一人で飲むか、多くても夫婦二人というケースが多いかもしれません。
そんなときにピッタリなのが、一人で飲みきれるサイズの缶入りワインです。ポップな見た目は、リモート飲み会などでも話題になりそうですね。缶入りワインのニーズは、今後より一層高まるのではないでしょうか。
おすすめの缶入りワイン2種類
最後に、アメリカのワイナリーの中でも根強い人気を誇るフランシス・コッポラ・ワイナリーから、おすすめの缶入りワインを2つほどご紹介します。
「ゴッドファーザー」などの映画を手がけた映画界の巨匠、フランシス・コッポラ監督のワイナリーで造る、高品質なカリフォルニアワインのピノ・ノワール缶です。
果実味豊かなピノ・ノワールのぶどうを使い、完熟したダークチェリーやスパイシーな香りを感じ、柔らかなタンニンと長い後味に特徴があります。ミディアムボディのワインで、スパイシーな料理との相性が抜群です。
ピノ・ノワール缶と同じく、フランシス・コッポラ監督のワイナリーで造られた、高品質なカリフォルニアワインです。
シャルドネ缶は、メロンやピーチ、爽やかなリンゴなどの香りがする、辛口のワインです。豊かな果実味とほどよい酸味は、白身の刺身のような和食にも合うでしょう。
缶入りワインでワインをもっと身近に
缶入りワインについてご紹介しましたが、いかがでしたか?
缶入りワインは軽くて持ち運びが便利で、いつでもどこでも気軽に飲めることや、一人分にちょうどいいサイズであることなどがおわかりいただけたかと思います。缶はリサイクル率が高く、環境への配慮がなされている点も、嬉しいですね。
まだまだ日本では定着していない缶入りワインですが、これからその人気が高まる可能性は、十分あると考えていいでしょう。缶ビールが定着したように、たくさんの缶ワインがスーパーのお酒売場に並ぶ日も、近いかもしれません。