イタリアワインならあなたに合うワインが必ず見つかる!4つの魅力と失敗しない選び方
イタリアは、ワイン生産量のトップの座をフランスと競い合う、世界きってのワイン大国です。歴史も古く、ワイン造りは紀元前2000年以上前から行われていたそう。
イタリアワインはとても多彩な表情を持ち、国民的な飲み物として愛されています。一方で、その複雑さからワインを飲みはじめた方からは「土着品種が多すぎて分からない」、「複雑で難しい」と受け取られてしまい、「イタリアワイン=苦手」といった印象も持たれることも少なくありません。
そこで今回は、イタリアワインの魅力とオススメの選び方をご紹介。どんな人、どんなシーンにも合わせられる魅力満点のイタリアワインの虜になってくださいね。
知っていると10倍楽しめる!イタリアワインの魅力4つ
イタリアは栽培されているブドウの品種が多く、オーソドックスな味から個性的なものまで幅広くワインが楽しめる国です。値段の幅も広く、「ワインは水より安い」と言われるくらい国民的な飲み物であるため、人が集まる場所や特別なイベントでは必ずといっていいほどワインを飲む習慣があります。
人々が気づけば惹かれてしまうイタリアワイン。その4つの魅力を紹介します。
1: ブドウの栽培に適した「地中海気候」
ヨーロッパ大陸南部にあり、アルプス山脈の南側から南北に伸びる長靴型のイタリア半島、地中海に浮かぶシチリア、サルデーニャなどの島々からなるイタリア。
南北に長く伸びた国土の地形は変化に富み多様な気候が存在しますが、国土の大部分は雨が少なく暖かい「地中海性気候」です。
地中海性気候は夏は日ざしが強く乾燥し、冬は適度に雨が降り、ブドウ栽培にうってつけ!ブドウ栽培の大敵であるカビが発生しにくく、ブドウが病気になりにくい気候なのです。そのため、ワインづくりを伝えたギリシャ人も「ワインの大地(エノトーリア・テルス)」と名付けたほどです。
2:ブドウ品種が2000種以上
イタリアでは毎年のように新しい品種のブドウが生まれていて、2000種類以上にものぼります。そのうちイタリアで育った固有の遺伝子型をもつ土着品種は500種を超えており、イタリアの一部の地域でのみ栽培されている専門家も知らないような珍しい品種もたくさん存在しています。
全体的にタンニンを多く含み、酸が強い傾向にあるため、長期熟成し、奥行きのある味わいの上質なワインが多いです。
3:地産地消で、コスパがよい
ひと昔前までのイタリアではワインは流通させるものではなく、その土地で消費されるものでした。その土地に根ざした土着品種で作るワインとその土地の食材、ハム類やチーズといったそこでしか味わうことのできない食と楽しむのが一般的であり、今もそうした地産地消の意識は色濃く残っています。
イタリアで「ワインは水より安い」と言われるのも、空き瓶や空の容器を持っていけばワインを入れてくれる計り売りのお店が根付いているから。地元の人々は1リットルのワインを1~2ユーロ(約100~200円)から買うことができ、気軽に家飲みできるのです。
またその上、イタリアはEUに加盟しておりEUのルールが適用されます。EUでは食品、飲料に対し厳しい規制を課されており、イタリア独自でもワインに対する厳格な法律が定められているほど。
イタリアワインはこういった基準をクリアしているため、たとえ安価であっても、決して他の国にひけをとらない品質が担保されています。つまり非常にコストパフォーマンスがいいワインが多いのです。
4:ヨーロッパの歴史を辿りながら楽しむことができる。
イタリアワインは歴史と深い繋がりを持ちます。イタリアでワイン造りが始まったのは、だいたい紀元前2000年頃といわれており飲み物としてではなく、宗教の信仰用や薬用として作られていました。
ローマ帝国時代になると、文明が最初に栄えたのがイタリアだったこともあり、領土拡大とともにブドウ栽培やワイン造りを伝え、ドイツ、フランス、スペインをはじめヨーロッパ全土にワインを普及していきます。
それだけでなく、政治家であるユリウス・カエサルが執政官に就任した際に、披露宴で出したのは、白ワインのマメルティーノであると言われていますし、西暦79年8月24日のヴェスビオ火山の噴火で埋められた民家の壁に書かれている「グレーコのワイン」は現在も生産されているのです。このように「イタリアの歴史は、ワインとともにあった」と言ってよいでしょう。この壮大な歴史を想いながら楽しめるのも、イタリアワインが愛される理由の一つなのです。
失敗しない!バリエーション豊かな「イタリアワインの選び方」
魅力的で、目移りしてしまいがちなイタリアワインですが、選び方に決まりはありません。好きな地域のものを選んでみる。ラベルや名前の気に入ったものを選ぶ。難しく考えすぎず、気軽に選べばOKです。
ですが、いざ選ぶとなるとそう簡単ではありませんよね。イタリアワインを選ぶのに迷ったらこれからご紹介する3つのポイントを参考に選んでみてください。
1:産地から選ぶ
イタリアは、エリアごとに気候や風土が異なるため、ブドウの産地ごとに味わいに特徴がでやすいです。産地について知っておけば、味わいをある程度イメージすることができます。
●初心者がチャレンジしやすいラインナップを揃える「トスカーナ州」
花の都と呼ばれるフィレンツェを州都に持っており、国内だけでなく、海外からの評価も高い辛口の赤ワインをメインに生産しています。赤ワインの生産量は州の約80%を占めるほど!
トスカーナの赤ワインは、お肉に合うしっかりとした重さと、渋みを押さえた飲みやすさがあり、赤ワイン初心者にもオススメです。
サンジョベーゼ種のブドウを使用した「キャンティ」や「キャンティクラシコ」の産地で、この他にもイタリアワインの代名詞といわれる高級ワインが多く生産されています。
さらに、ワイン法の伝統や格式にとらわれず、ワインの美味しさを自由に追求したい生産者の熱い思いが生み出した、高品質のイタリアワイン「スーパータスカン」も有名です。
●豊富なラインナップのワインを楽しみたいなら「北イタリア」
ピエモンテ州・トレンティーノアルトアディジェ州などの北イタリアは、イタリアでも屈指のワインの銘醸地です。ネッビオーロ種を使用した「王のワイン」と呼ばれている、イタリアを代表する最上級赤ワイ「バローロ」やどっしりとした重厚感のある高級赤ワイン「バルバレスコ」が有名で、酸味が綺麗でミネラルがありエレガントなワイン、といった特徴を持っています。
特に、ピエモンテ州は品質が高いワインの産地です。香り豊かな白ワインの「ガーヴィ」やスパークリングワインの「アスティ」など、幅広いラインナップのワインが造られています。
その他にも、バルベラ種、ドルチェット種、コルテーゼ種など、魅力的な土着品種を使用した軽い飲み口のワインも揃っており、オススメです。
●個性的なワインを飲んでみたいなら「南イタリア」
南イタリアは、アドリア海とティレニア海に囲まれ、太陽の恩恵を存分に受ける魅惑的なワイン産地です。テロワールに合った個性的な土着品種がひしめき、リーズナブルなワインからイタリアを代表する銘醸ワインが数多く生産されています。果実味が豊かで太陽が感じられるおおらかなワインが豊富なのが特徴です。
特に、地中海最大の島・シチリア島(シチリア州)は、イタリアで最も古いワインの産地。
他の有名産地と異なり、有機栽培に特化したワイナリーが多く、「セッテソリ ピノ グリージョ ビオ」のような自然派ワイン好きにはぴったり。火山性土壌や石灰質土壌が多いことから、エレガントな味わいの赤ワインや、しっかりとした酸味が感じられるフレッシュで香りのよい白ワインが製造されています。
また、「コラーレ・ロゼ」のような、お手頃価格ながら、良質なワインを探している方にオススメです。
2:ブドウの品種から選ぶ
先にも書いたように、全土でワインが醸造されているイタリアはブドウの品種がとても多様です。自分好みのブドウ品種でセレクトする楽しみも、好みの品種を新たに開拓する楽しみも味わうことができます。
●力強いコクのある味わいを楽しみたい方は「サンジョヴェーゼ」
イタリア国内において圧倒的な生産量を誇る、トスカーナ地方で主に栽培されている黒ブドウです。しっかりとした酸味とコクがあり、高級ワインからデイリーワインまで幅広くつくることができます。
世界的にイタリアワインを有名にした、キャンティワイン、またバローロと並んでイタリアワインの女王と称される、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」を生み出す品種です。
生ハムとチーズのサラダや牛肉のトマト煮込みなどと合わせるとお互いをとてもよく引き立てあいます。
●複雑で豊かな香りが特徴の「ネッビオーロ」
イタリア北部の限られた地域で栽培されているブドウ品種です。非常に栽培が難しい反面、コクのある味わいと強いアルコール、タンニンが感じられ、芳醇な香りが長い余韻を残します。長期熟成に耐える偉大なワイン、イタリアワインの王と称される「バローロ」「バルバレスコ」はこの品種から作られます。
赤身の肉を基本としたメインディッシュ、熟成チーズと合わせるのがオススメです。
●柑橘系の香りとキレのよい後味を楽しみたい方には「トレッビアーノ」
イタリアのほとんどの産地で栽培されている白ワイン用の品種です。果汁に粘性が少なくサラサラとした飲み心地で、クリアなグリーンで見た目も爽やか。 アルコール度数が低く、飲みやすい味わいです。
イタリアではポピュラーなので、日常的に楽しめるデイリーワインの他、ブランデーやスティルワイン、スパークリングワインの原料にもなります。
ビール代わりに「ルナティコ トレッビアーノ・ダブルッツォ」を食卓で楽しみましょう。ペペロンチーノやシーフード、塩味の強いおつまみと相性抜群です。
3:料理に合わせて選ぶ
先にも書いたように、イタリアワインはそもそも食卓でデイリーに楽しむためのものでした。ただ一言で「イタリア」といっても、南と北で捕れる作物が全く異なるため、食材や料理法も全く異なります。日々、食卓に並ぶ料理に合わせて、セレクトしてみてください。
●サラダやカルパッチョには「シンプルなワイン」を
水々しい野菜や魚には、新鮮な食材にも恵まれている温暖な気候のシチリア島から中部のリグーリア州までの地域のワインが合います。オリーブ栽培も盛んなため、食材の味を活かしたシンプルな料理が多いのです。
・「セッテソリ セリゴ ビアンコ」
柑橘類やミントを想わせる、フレッシュで風味溢れる味わいのワインです。シャルドネ種由来の豊かさ、ミネラル感が完璧にマッチ。飲み頃の8〜12度に冷やせば、刺身や貝類、シーフードを使ったパスタと相性抜群です。
・「2018 ロザート・トスカーナ / レ・チンチョレ」
100%サンジョヴェーゼの、フレッシュな辛口ワインです。口当たりは非常に滑らか、豊かな果実味とまろやかな酸が心地よく、飲み疲れしない優しい味わい。たらこパスタ、カボナータ、フレッシュなトマトと合わせましょう。
100%サンジョヴェーゼの、フレッシュな辛口ワインです。口当たりは非常に滑らか、豊かな果実味とまろやかな酸が心地よく、飲み疲れしない優しい味わい。たらこパスタ、カボナータ、フレッシュなトマトと合わせましょう。
●肉料理や味付けが濃いものには「フルボディタイプのワイン」を
コッテリとした味付けの料理に合うワインはフルボディタイプのもの。調理油にバターやラードを使用する、ピエモンテ、エミリア・ロマーニャ、ヴェネト州以降の北部で生産されているワインを選びましょう。
・「フラッテリ・ジャコーザ・バローロ」
タンニンのしっかりした赤ワインです。バラのような香りが長く持続する、辛口でフルボディのイタリアワイン。16〜18度が飲み頃で、滑らかな口当たりは牛肉のローストやグリル、串焼きと良く合います。
・「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」
イタリアを代表する長期熟成赤ワインです。陰干ししたブドウから造るため、豊かなアロマと濃縮した味わいが特徴で、今や世界中のワイン愛好家を虜にしています。
飲み頃は14~16度。肉のトマト煮込みやデミグラスソースのような味付けが濃いものと相性抜群です。
気分でイタリアワインを飲み分けて、ワインの奥深さに魅了されてください
こんなにも多様性を持っているのは、イタリアワインだけです。いろいろな地域、品種のワインを飲み比べてみてください。イタリアワインのバラエティ豊かな魅力を実感し、その奥深さにどんどん魅了されていくこと間違いなしです。
また、ワイン好きの全ての人をカバーする懐の深さも、イタリアワインの魅力の1つ。ビール代わりに、お風呂上がりに、友達とのランチに、恋人とのディナーに、必ず合うワインが見つかります。
あなただけの宝ものを見つける気持ちで、イタリアワインを楽しんでください。