ワインに含まれる酸化防止剤は問題ない?
楽しく飲むために知ってほしいこと
「ワインを飲むと二日酔いや頭痛になるのはワインに酸化防止剤が使われているから」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。日本では世界各地の名産ワインが輸入されており、普段の食事で楽しむ人も増えてきましたが、「体に悪い」と聞くと心配になります。そこでワインに使われる酸化防止剤とは一体どんなものなのか詳しくご紹介します。
亜硫酸塩(酸化防止剤)は古代ローマから使われる天然の添加物
酸化防止剤として使われる亜硫酸塩は、もともと硫黄が酸化したものです。火山活動で発生するほかにも、タマネギやニンニクなどの臭気の元になっているのも硫黄です。
元々自然界に存在する物質であり、ワインの醸造過程で欠かせないものとして古くから利用されてきました。その歴史は古代エジプトや古代ローマの時代にさかのぼることができます。樽の中の微生物や酸化、そしてブドウについた雑菌などからワインを守るため、針金の先につけるリング型の硫黄は今も販売されているほどメジャーな添加物なのです。
添加物と聞くとどうしても体に悪いのではないかと考えてしまいがちですが、現代では亜硫酸塩の濃度は正確に測定することが可能であり、使用する量も厳しく定められています。
さらに亜硫酸塩はワインに含まれる糖やアントシアニンと結合して無害な物質になるため、実際に添加される量より実際に飲む時点でほぼ残らないのです。
現在では「ワインで頭痛がするのは酸化防止剤が原因」という話は根拠のないデマであり、どのようなお酒でも飲みすぎれば痛むのと同じとされています。
本当の意味での無添加ワインを作るのはとても難しい
酸化防止剤が体に悪い物ではないということが分かっても、ワイン売り場で無添加ワインが販売されていたらやはりそちらのほうが割高でも気になってしまうかもしれません。やっぱり添加物は使わない方がより自然な、ブドウ本来の風味を味わえるのではないか、体にもよいのではないかと考える方も多いことでしょう。
実際にワインメーカーでも無添加にこだわったワイン造りを目指しているところは多くあります。ただ、亜硫酸塩は古代から消毒目的で使用されてきたものであるというだけでなく、自然界に存在する物質です。
そもそも実はワインを作る過程で、ブドウを発酵させる際にも自然に亜硫酸塩は発生してしまうものであり、そうした意味でも「亜硫酸塩を取り除いて無添加のワインを作る」ことは簡単ではないことが伺われることと思います。
それでも無添加ワインにこだわって製造する場合、生産者によって違いはありますが、「アセトアルデヒドの生成を抑える」「酸化させないようにする」ことに重点を置いて造っています。ただ、アセトアルデヒドを発生させないように酵母を加えたり、発酵させないようにしたりといった人工的な手段が必要になることに加え、場合によっては甘みや酸味を添加したりといったことが必要になることもあります。
つまり酸化防止剤を使用しない場合、それだけの別の手間がどうしても発生してしまうのです。もちろんいわゆるメーカーでもそうした添加は最小限に抑えるよう工夫されるケースが多いですし、それこそ非常に手間や工夫を重ねて人力で無添加ワイン造りに取り組まれる醸造家の方もいらっしゃいます。ただしあくまで簡単な話ではないという点は間違いありません。
酸化防止剤はワインの味を調えてくれる?安心して飲んで大丈夫なその理由
日本に輸入されるワインは、長い船旅や厳しい基準をクリアする必要もあることから酸化防止剤が比較的多めに添加されています。そのため、日本で造られたワインや外国の現地で飲むワインの方が美味しいと言われることも少なくありません。
ただし、同時に酸化防止剤を使っていないから美味しいというはっきりした理由が明らかになっていないことも事実です。専門家の中でも逆に酸化防止剤を使用しているワインのほうが、香りや味わいが際立っているという意見もあります。
ただ、一つ言われているのは格安系の大量生産ワインは、亜硫酸塩がより多めに使われていることが散見されるという点です。これは小樽での少量ベースでの発酵とは桁が違う規模でまとめて行うために仕方のないことではありますが、こうした場合ははっきり影響が感じられてしまう傾向があるようです。
本来、亜硫酸塩は大量に使用する必要はありません。先にお伝えした通り、ほとんどの醸造家の方が最低限の使用に控えていますし、そうした方の想いを知ってワインを選ぶことが美味しいワイン選びの楽しみにもつながっていきます。
自然派ワインであるオーガニックワインは無添加ワインとはどう違う?
オーガニック野菜と聞くと体に良いもの、というイメージがありますが、実際にどういった野菜を指すのか詳しいことは知らないという方も多いのではないでしょうか。自然な堆肥を使った栽培だけでなく科学的な肥料を使わない栽培をしていることが特徴です。
オーガニックワインとは、そうした有機栽培で造られたブドウを使ったワインのことで、あくまでも亜硫酸塩などの添加物が含まれていないワインという意味ではありません。
またオーガニックワインについては、有機栽培の認証機関によって認証されているかどうかも基準となります。認証の規定には違いがあります為、環境に配慮された栽培方法かどうか、人に優しい安全な有機肥料が使われているかどうかなど確認しましょう。
ただオーガニック認証の基準が厳しくない機関もあり、中にはオーガニックワインと表示されていても品質が悪いものもあるようです。オーガニックだけを基準にするよりはやっぱりどこの醸造家、メーカーが出しているのかも確認した方が良いでしょう。
オーガニックワインの歴史
オーガニックワインの歴史は、大量生産を目指した農業の近代化の時代に遡ります。
除草剤によって土壌が悪化したことから化学肥料が使われるようになり、さらに大量生産にありがちな人為的な味やアルコール濃度の調整など不自然なワインが否定されるようになりました。
こうしてワイン醸造は1960年代の除草剤を使っていなかった時代への回帰が求められるようになります。ただ自然な栽培や醸造を求めるあまり、ワインの味や品質管理がおろそかにされてしまったことで、いつしか自然派ワインは美味しくない、臭いといった認知が広がってしまいます。
それを問題視した新しい作り手によってブドウ栽培や醸造技術が見直され改善されたことから、自然派ワインは今のような質の高いものへと進化したのです。
世界的に支持を集め始めているオーガニックワイン
2019年には、市場調査で世界的にオーガニックワインが支持を集めていることが調査で明らかになっています。
日本でもワイン市場は売上を伸ばしており、自然派ワインも大きな関心を集めています。ただ、オーガニックワインは有機栽培など大量生産ができないことから価格が高いことがネックであり購入したくてもできないということが少なくありませんでした。
2012年にEUオーガニックワイン規定が発効され、工場でオーガニックワインの製造が可能になったこと、またオーガニックに適した土地でのブドウの生産が増えたことから、オーガニックワインの流通量が増え、大手メーカーから1,000円台からのお手軽価格のものが出てきています。オーガニックワインに興味があるなら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
おススメワインとすぐに用意できるおススメ料理のご紹介!
オーガニックワインを飲んでみたいけれど、値段だけで選ぶのはちょっと心配、またどういった料理に合わせたらいいのか分からないということもあるはず。ここではぜひ試してみていただきたいおススメワインと、手軽に用意できるおススメ料理をご紹介します。
ガブ飲みOK!お値打ち価格のボックスオーガニックワイン!
お値打ち価格のオーガニックワインを飲んでみたい方におすすめしたいのが、マス・ド・ジャニーニのワインです。
こちらは南仏ランドックで家族経営でワイン造りをしているワイナリー。粘土石灰質の恵まれた土壌で、除草剤や化学肥料を使わない有機栽培、そしてブドウが自然にバランスよい実をつけられるよう畝(うね)の耕し方を工夫しています。小規模生産でありながら手間と時間を惜しまないワイン造りは高い評価を得ています。
そんな除草剤や化学肥料を使わないことで自然や環境に優しく、健康にいい美味しいワイン造りを目指すマス・ド・ジャニーニのワインの中でもコスパの高さでおすすめしたいのがボックスワイン、「マス・ド・ジャニーニ ブランBIB」です。
日本ではすでにマス・ド・ジャニーニの瓶ワインが人気ですが、さらにお手軽にオーガニックワインを味わって欲しいという思いからこのボックスタイプが誕生しました。瓶タイプと比べると約半額なので、多人数でワインを楽しみたい、心置きなくガブ飲みしたいというワガママを叶えてくれます。もちろん味は現地でも高い評価を得ており折り紙付きです。
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合わせて食べるならこんな料理
マス・ド・ジャニーニ ブランBIBは、爽やかなフルーツの香りと酸味が味わえる白ワイン。しっかり冷やしてから料理と合わせるのがおすすめです。
ひと手間の余裕がある時はあっさりした鶏の胸肉を軽く茹でて、甘いピーマンと酸味のあるトマトを合わせ、オリーブオイルをあえるだけでぴったりの一品が出来上がります。味見をしてちょっと味が物足りない場合には、オリーブオイルにしょうゆや塩コショウを混ぜて調整してみましょう。
チリ最大級のオーガニックワイナリーの赤を楽しもう
南米・チリで初めてヴァラエタルワイン(ブドウの品種をラベルに明記したワイン)を造り、有機栽培によるオーガニックワインの製造にいち早く乗り出したエミリアーナは、チリ最大級のワイナリーです。
フランスボルドー地方が原産であるカベルネ・ソーヴィニヨンはボルドーワインが有名ですが、同じブドウをチリで生産して醸造したインディゴ・グラン・レゼルヴァ カベルネ・ソーヴィニヨンは、エミリアーナの手にかかるとフルーティな香りと豊かな酸味で、ボルドーワインに負けない味わいとなっています。
畑で育ったブドウをそのまま使うことにこだわるエミリアーナのワインは、オーガニックワインを代表する味です。また収穫する年の気候によって味に変化があることも魅力の一つとなっています。エミリアーナは、オーガニック栽培に加え、ビオディナミ農法(自然の循環を取り入れた農業)に取り組んでおり究極の自然派ワインワイナリーでもあります。
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ペアリングしたい料理はこれ!
フルーティな香りが楽しめるインディゴ・グラン・レゼルヴァ カベルネ・ソーヴィニヨンにもまずは肉料理がおすすめです。特徴的な豊かな酸味は肉の脂の甘味とよく合いますので、厚切りのポークソテーなどは特にピッタリ。
これからの暑い時期には、ニンニクを薄くスライスして油で揚げたガーリックチップスをたっぷり使って、スタミナも考えた料理を合わせましょう。またインディゴ・グラン・レゼルヴァ カベルネ・ソーヴィニヨンは和食とも相性が良く、特に牛すじ入りのおでんなどもOK。オールシーズンの長く付き合える一本です。
100年の歴史を持つ世界的ワイナリーのスパークリングを楽しもう!
スペインを代表するワイナリーとして知られるヴィセンテ・ガンディア。
その歴史は1885年の創業から始まり、現在経営している4代目まで100年以上続いています。
そうした伝統的な醸造を守りながら高品質なワインをリーズナブルな価格で提供することにこだわり、世界90ヶ国に輸出をしているグローバルワイナリーでもあります。
そこでおススメのエル・ミラクレ カヴァ・オーガニックは、エコロジカル栽培認証を取得したブドウのみを使用したスパークリングワインで、爽やかな果実と花の香りが特徴です。
シャンパンのような深みのある味わいもあり、手頃な価格ながらきめの細かい泡も楽しめます。すっきりとした辛口のワインなので、前菜からメインまで広く料理に合う点でもおすすめです。さらに、人に優しいワイン造りにこだわっていることから、亜硫酸塩を一般的な醸造で用いられる量の半分しか使用していないこだわりのつまったワインです。
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ペアリングしたい料理はこれ!
エル・ミラクレ カヴァ・オーガニックは爽やかな香りとしっかりした泡が楽しめるスパークリングワインなので、軽食的な料理からオイルを使ったメイン料理などにもぴったりです。
素材の味を楽しみたい時は定番の生牡蠣や白身魚ですが、もちろん洋食だけでなく銀鱈の煮つけなどの和食との相性もよく、1本でフルコース料理に合わせられる点でも魅力あるワインです。
前菜とメインの料理にそれぞれ別のワインを用意するのはちょっと、という時やワインをあまり飲まない人にもワインの香りや味をしっかり楽しんで欲しい時にもおすすめしたいスパークリングワインです。
自然派ワインやオーガニックワインの人気で、多くのワインオーナーがそれぞれこだわりのワインを製造販売しています。ただ、せっかくの自然や人に優しいワインであっても、「自然に近いからこんな味なのか」という印象を持っている方も少なくありません。
近年はワイナリーの品質管理のこだわりも高くなっていて、コスパのよい高品質な有機栽培のブドウを使った美味しいワインが豊富に流通しています。
今回ご紹介したワインは、日本だけでなく世界でも高い評価を得ているおすすめのワインです。ぜひ日常の食卓やちょっとした贅沢を楽しみたい時に味わってみてください。