世界一有名なボルドーワイン!その特徴を徹底解説
ボルドー。ワインにあまり詳しくなくても、その名を一度は耳にしたことがあるかもしれません。言わずと知れたワインの名産地中の名産地です。そもそもボルドーとは何なのか?ボルドーでつくられたワインにはどんな特徴があるのか?ボルドーワインにはどんなものがあるのか?徹底解説します。
知ってた?奥深いボルドーワインの特徴
世界的にも有名で群を抜いた人気を誇るボルドーワイン。まずは基礎知識を勉強していきましょう。
●ボルドー地方とは?
ボルドー地方はフランスの南西部にあるジロンド県に位置し、ブルゴーニュとならんでワイン大国フランスのなかでも特に有名な醸造地です。「ボルドー」とはフランスの昔の言葉で「水のほとり」。その名のとおりガロンヌ川・ジロンド川・ドルドーニュ川が流れ、昔からワイン交易が盛んでした。
●ボルドーワインの品種と味わい

ボルドー地域は大西洋の影響を受ける海洋性気候で、さまざまなぶどう畑があります。赤ワインの原料である黒ぶどうはカルベネ・ソーヴィニヨン、メルローなど、白ワインの原料となる白ぶどうだとソーヴィニヨン・ブランやセミヨンといったぶどう品種が栽培されています。
ボルドーワインの特徴としては単一種ではなく複数の品種のぶどうをブレンドするということ。これによって他のワインにはない独自の味と香りを実現しています。
例えばメルローを使ったワインはフルーティーで渋みがすっきりとした味に、カルベネ・ソーヴィニヨンをメインに使っているワインは逆に渋みが感じられて重厚感がある辛口になります。
また、白ワインはじっくりと熟成され、比較的重めの味わいが感じられるのが特徴です。
世界一美味しいボルドーワインの秘密
ボルドーは世界一と評されるほど名高い醸造地です。でも、なぜこれほどまでの名声を手に入れ、有名になったのでしょうか?その秘密を見ていきましょう。
<メドックの格付け制度!?>
ボルドー地方を流れるジロンド川の河口付近の地域をメドックと言います。長い年月を経て砂利が堆積し水はけが良い土壌で育てられているぶどうは旨味がギュッと凝縮されています。
このメドック地域では昔から生産者の格付けが行われています。ときはさかのぼり1855年。ナポレオン3世がパリ万博でボルドーワインをアピールしたいと考え、ボルドーの商工会議所にワインの生産者の格付けをするよう命じたのがはじまります。
<世界を代表する五大シャトーとは?>

メドックの格付けには5級から1級までのランクがあり、特に1級に選ばれた格付けシャトー(醸造所)は「五大シャトー」と呼ばれ、世界的にも有名。それぞれ特徴を見ていきましょう。
① シャトー・ラトゥール
メドック地区のポイヤックで14世紀に設立されたシャトーです。要塞として建てられた塔「サン・ラベール」がシンボル。伝統を大切にしつつも新しい技術を常に取り入れ、特に五大シャトーのなかでも品質が高いワインを安定的に供給している生産者として知られています。
② シャトー・ラフィット・ロスチャイルド
同じくメドック地区ポイヤックにあるシャトーで、格付け当時最も高価なワインを出していたことから、五大シャトーの筆頭格とも呼ばれています。ルイ15世が好んで飲んでいたことから、「王のワイン」としても有名です。
味わいと香りは気品あふれ、特に長期熟成したものはエレガントさを感じさせ、まさに「筆頭格」、「王のワイン」という称号にぴったりです。
③ シャトー・ムートン・ロスチャイルド

こちらもポイヤックのシャトーです。1855年の格付け当初は2級に位置づけられていましたが、ロートシルト家が努力を続け、ぶどうの栽培方法から醸造の設備、熟成方法に至るまで、ワインづくりの工程を見直し、改良を重ねた結果、1973年の格付けでは見事1級に昇格を果たしたのです。
華やかで豊かな味わいと香りは努力の賜物。他のシャトーとは一味違う個性が感じられます。
④ シャトー・マルゴー
メドック地区マルゴー地域にあるシャトー。1855年の格付けの際には唯一テイスティングで満点を取得した完璧なワインをつくりました。
五大シャトーのワインのなかではもっとも女性的と言われていて、繊細でふくよかな香りとやわらかな口当たりで、「ワインの女王」とも呼ばれています。ヘミングウェイやチャップリンなど、数々の著名人をトリコにしてきました。
⑤ シャトー・オー・ブリオン
グラーブ地区のペサック・レオニャンにあるシャトー。メドック格付けは前述のとおりメドック地区にあるシャトーのランクを決める制度。しかし、シャトー・オー・ブリオンはあまりにも有名だったため、メドック地区外であるにも関わらず格付けシャトーに入ったという特別な存在です。
比較的タンニンが少なくてやさしい飲み口ですが、その中にもほどよい重厚感がある。誰もが飲みやすく楽しめる味わいがあります。
「ワインの王様」ブルゴーニュワインとの違い

ワインといえばブルゴーニュ。「ワインの王様」とも評され、特にロマネコンティは別格の扱い。同じ「ワイン」という酒類に属しますが、ブルゴーニュワインとボルドーワインでは大きな違いがあります。
<味わいと格付けの違い>
ブルゴーニュワインが王様なら、ボルドーワインは女王様です。でも、意外とボルドーワインのほうが重みはあって、ずっしりとした飲みごたえがあるのです。ブルゴーニュワインはピノ・ノワールやガメイといった、比較的酸味が強く柔らかい味わいのぶどう品種が使われています。一方で、ボルドーワインはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドといった品種が主に使われています。皮の色が濃い、つまり渋み成分であるタンニンが多く含まれているため、重厚感あふれる味わいとなる傾向にあるのです。
ボルドーワインでは生産者であるシャトーが格付けされていたのですが、ブルゴーニュワインはぶどう畑が格付けの対象になっているのも大きな違いです。
ブルゴーニュ地方では11世紀に修道士たちがぶどう畑の収穫状況を把握していて、畑を区切って管理していたという歴史が起源となっているとされています。
<他にもこんなに違いがある!>
ボルドーワインとブルゴーニュワインは味や格付けの方法だけでなく、さまざまな面で違いがあります。
| ブルゴーニュ | ボルドー |
ボトルの形状 | なで型 | いかり肩 |
生産者の呼び方 | ドメーヌ | シャトー |
使うぶどう品種の数 | 単一 | 複数 |
グラスの形状 | 膨らみがある丸形 | 縦長 |
●生産者の呼び方

前述のような「五大シャトー」にも代表されるように、ボルドーではワイン生産者を「シャトー」と言います。フランス語で「お城」という意味です。ボルドー地方では広大なぶどう畑を所有して大規模な醸造所でワインをつくっている生産者が多く、また12世紀には一時的にイギリス領となり、イギリスの貴族がワイン畑を所有してワインに自分のお城の名前をつけたことから、シャトーと呼ばれています。
一方、ブルゴーニュではワイン生産者のことをドメーヌと言います。「所有地」という意味のフランス語です。比較的規模が小さく、家族経営でワインの醸造を行っている生産者が多いため、このような名前で呼ばれるようになりました。
●ぶどう品種の数
ブルゴーニュでは単一のぶどう品種を原料としてワインがつくられます。それも、赤ワインだったらピノ・ノワール、白ワインだったらシャルドネという品種が使われることが多いです。
ボルドーでは前述のとおり、複数の品種のぶどうをブレンドします。使われるぶどう品種もカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドなどバラエティ豊かです。
●ワイングラス
ブルゴーニュのワインには、繊細な香りを感じ、空気に触れさせることで変化も楽しめるよう、膨らみが大きいタイプのグラスが好んで使われます。
一方で、ボルドーワインの場合は複数の品種のぶどうを原料として使っているため、複雑な香りや味わいを楽しむことができます。それをダイレクトに感じられるようにするため、大振りで縦長のグラスが使われることが多いのです。
コスパ抜群?!セカンドワインの存在

世界でも最高峰のボルドーワイン。特に五大シャトーで生産されたファーストワインは非常に高価です。でも、セカンドワインなら比較的お手頃な価格で五大シャトーのボルドーワインを楽しめます。
●気軽に飲めても美味しいセカンドワインとは?
シャトーで収穫されたぶどうのなかでも、特に出来が良いぶどう果実だけを厳選し、それを原料として使用したワインのことをファーストワインと呼びます。セカンドワインは品質がファーストワインの基準に満たなかったものや、樹齢が比較的若い木から収穫されたぶどう果実を使ってつくられるワインです。
ファーストワインと比べると格下になりますが、とはいえ一流シャトーでつくられるワインは、他のものと比べて圧倒的においしく、満足できる仕上がりとなっています。
●大公開!ボルドー五大シャトーのセカンドワインの種類

ボルドーの五大シャトーにもそれぞれセカンドワインがあります。もちろん、他のワインと比べるとそれなりに高価なのですが、頑張れば十分手が出る価格です。それぞれ特徴を見ていきましょう。
① シャトー・ラトゥールのセカンドワイン
ランクロという区画の畑から栽培されたぶどうがシャトー・ラトゥールのファーストワインに使われています。「レ・フォール・ド・ラトゥール」はランクロ内の比較的若い木から収穫された果実と、ランクロ以外の畑から収穫された果実を原料として使用。ファーストワインと同じ製法でつくられるため、味や香りも近いものが楽しめます。
② シャトー・オー・ブリオンのセカンドワイン
「ル・クレランス・ド・オー・ブリオン」もファーストフワインに使われるぶどうと同じ畑にある、樹齢の若い木から収穫される果実を使うスタイル。土壌も品質管理もファーストフワインと同じなので、セカンドワインであっても高い評価を受けています。
③ シャトー・ムートン・ロートシルトのセカンドワイン
「ル・プティ・ムートン・ド・ロートシルト」はセカンドワインでありながらも生産者の愛着が強く、婦人の邸宅の呼び名「ル・プティ・ムートン」がつけられているほど。妥協を一切許さず、ファーストワインと同様の果実味と渋みを味わえます。
④ シャトー・マルゴーのセカンドワイン
五大シャトーのなかでも女性的だと評されるシャトー・マルゴーですが、セカンドワインである「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー」は比較的求めやすい価格ながらファースト同様に気品ある味わいが楽しめます。
⑤ シャトー・ラフィット・ロートシルトのセカンドワイン
五大シャトーで最も高値がついたシャトー・ラフィット・ロートシルト。そのセカンドワイン「ル・プティ・ムートン・ド・ロートシルト」はファーストワインと同じぶどう果実を使用。ゴージャスで気品ある味わいと香りが楽します。
自分にあったボルドーワインを
ボルドーワインを飲まずしてワイン通を語ることなかれ。ブルゴーニュワインとはまた違った味わいを楽しめます。どちらが好みか、飲み比べてみるのも良いかもしれません。
AEON de WINEでは毎日の晩酌で楽しめるものから、五大シャトーのものまで選り取り見取り。ぜひ、あなたにぴったりのボルドーワインを見つけてみてください。