知ればもっとおいしく味わえる!?シャンパンの作り方とは
お祝い事には欠かせないシャンパン。上品な泡立ちが特別なひとときを彩ってくれます。あの泡や上品な風味はいったいどうやって作り出されるのでしょうか?今回はシャンパンのこだわりの製法に迫ってみましょう。
また、方式や産地によって味も変わりますので、それぞれどんな違いがあるのかも解説。よりご自身の好みに合ったシャンパン選びの参考になること間違いありません。
独特の泡を生み出す!伝統ある「シャンパーニュ製法」
シャンパンとはフランス北部に位置するシャンパーニュ地方で作られているスパークリングワイン(発泡性ワイン)のことを指します。AOCワインであり、製法も厳密に定められています。代表的な作り方はその名も「シャンパーニュ製法」。伝統的な製法であることから「トラディッショナル方式」とも呼ばれます。
いったいどのような作り方なのか?原料であるぶどうの収穫から完成まで順を追って見ていきましょう。
1、圧搾と一次発酵
まずは畑で栽培されたぶどうを手摘みで収穫します。シャンパーニュ地方で収穫されるぶどうは爽やかな酸味が特徴。これが後に口当たりが良いシャンパンとなるのです。
収穫したぶどうの果実は圧力をかける「圧搾(キュベ)」という工程で果汁を絞り出します。この時点ではまだアルコールは含まれておらず、ただのぶどうジュースの状態です。
その後、果汁を樽やタンクに移し、10~15日間発酵させます。熟成させることでぶどうの糖分がアルコールに変化し、白ワインができあがります。ただし、この段階ではまだ完全に発酵が進んでおらず、アルコール度数が低い状態です。
2、ブレンドで味を調整
シャンパンは単一の品種が原料となっているわけではありません。発酵してでき上がった白ワインに他の品種のワインを調合して味や香りを整えます。この工程を「アサンブラージュ(調合)」と言います。
シャンパンの風味を左右するので非常に重要。ワイナリーごとに独自の調合方法が確立されています。
3、瓶詰め
アサンブラージュをしたワインに、発酵を促す酵母とショ糖が含まれるリキュールを加え、瓶に詰めて密閉します。
瓶詰めをした後は約2ヶ月間発酵させます。この過程で残った糖分がアルコールへと変化すると同時に、炭酸ガスが発生してシャンパン特有のグラスの中で踊る泡を生み出すのです。
発酵が完了すると、さらに熟成をさせるために地下の洞窟に移します。瓶の中には澱が発生しているので、出荷前には瓶の口を下にして置いて、さらに瓶を回転させる「動瓶」という工程を経て澱を一箇所に集めます。
その後、澱が集まった部分のみをー20℃くらいで冷やして凍らせることで、きれいに取り除くことができるのです。
5、シャンパンの完成
澱を取り除いたシャンパンにリキュールを加えて味を整え、さらに半年以上熟成させます。その後、コルクで密栓し瓶にラベルを貼付して、ようやく完成です。
シャンパーニュだけじゃない!?いろんなスパークリングの製法
1本のシャンパンが出来上がるまでに、非常に多くの手間と時間がかかっているのがおわかりいただけたのではないでしょうか。以上でご紹介したのはシャンパーニュ製法(トラディッショナル方式)ですが、他にもさまざまな樹類のスパークリングワインの作り方があります。
① シャルマー方式
シャンパーニュ方式では調合の後に瓶の中で発酵をさせましたが、シャルマー方式では大きなタンクの中で二次発酵をさせます。一度に大量のシャンパンを発酵させることができるため、コストを抑えてかつ短期間で醸造することが可能です。
瓶内で二次発酵をさせたワインを加圧タンクに入れて澱を取り除く方法です。シャンパーニュ製法よりも簡単に澱が除去可能なので、こちらもコストを抑えながらスパークリングワインを作ることができます。
③ メトード・リュラル
別名「田舎方式」。あえてワインに糖分が残った状態のまま一次発酵を途中で止め、瓶に詰めてさらに発酵をさせる方法です。ショ糖が含まれたリキュールなどを使わず、ぶどうの糖分のみで発酵をさせるので、アルコール度数は低め。一方で、ぶどう本来の豊かな香りや味わいが楽しめます。
ぶどうの品種でも味や香りがぜんぜん違う!
シャンパンの味や香りは材料であるぶどう品種によっても異なります。いったいどんな違いがあるのでしょうか?これを知っておけば、より自分好みのシャンパンに出会うことができますので、ぜひ頭に入れておいてください。
●シャルドネ
【特徴】
皮が緑色をしている白ぶどうの一種で、白ワインの材料として有名。さわやかな酸味と柑橘系の果実味が特徴的です。
【代表的な産地】
コート・デ・ブラン、コート・デ・ゼザンヌ
●ピノ・ノワール
【特徴】
こちらは皮が紫色をしている黒ぶどう。赤ワインの材料として有名ですが、皮と種を取り除くことでシャンパンも作れます。ピノ・ノワールを使ったワインは香りがふくよかで力強い飲みごたえがあります。
●ピノ・ムニエ
【特徴】
こちらも黒ぶどうの一種です。熟成期間が短く、フルーティー感が味わえるやわらかな風味のワインに仕上がります。
【特徴】
こちらも黒ぶどうの一種です。熟成期間が短く、フルーティー感が味わえるやわらかな風味のワインに仕上がります。
【代表的な産地】
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ
ちょこっと豆知識。世界各国のスパークリングワイン作り
前述のとおり、シャンパンはシャンパーニュ地方で作られたワインのことを指します。その他の地域で作られたものはシャンパンとは名乗れず、スパークリングワインに分類されてしまうのです。それでもシャンパンとはまた別の個性的な風味が楽しめます。
ここからは、ちょっとした豆知識。世界各国のスパークリングワインワインの作り方について見てみましょう。
[イタリア]
イタリアで有名なスパークリングワインは「プスマンテ」。特に有名なのは「フランチャコルタ」。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ブランといったぶどうから作られます。
シャンパンは15ヶ月以上の瓶内熟成期間を経て作られますが、フランチャコルタはそれを上回る18ヶ月。豊かな風味で最高級ランクのプスマンテです。
[スペイン]
スペインではスパークリングワインを「エスプモーソ」と言います。その代表格が「カヴァ」。シャンパンと同じシャンパーニュ製法で作られています。
ただし、チャレッロやパレリャーダといったスペインのカタルーニャ固有種のぶどう品種を使ったものもあり、酸味が控えめで飲みやすいのが特徴です。シャンパンと飲み比べてみるのも楽しいかと思います。
[ドイツ]
ドイツではスパークリングワインのことを「シャウムヴァイン」と言います。特にポピュラーなのはゼクト。ドイツ国内もしくはフランスやイタリア、スペインから輸入したベースワインを使って、伝統的な二次発酵方式で作るのが特徴的です。
ちょこっと豆知識。世界各国のスパークリングワイン作り
お祝いのイメージがあるシャンパンですが、日常的に飲むのもありです。むしろ、味に癖がないので、ワイン初心者の方やアルコールがあまり飲めない方でも楽しみやすいお酒なのでおすすめ。
AEON de WINEではシャンパンをはじめ、数多くの上質なスパークリングワインを取り揃えています。今回の記事を参考に、ご自身に合った1本を選んでみてください。