一から学べるティスティングのいろは!どこにいっても安心豆知識
高級レストランなどで行うテイスティング。慣れていない方は「どうしたらいいんだろう」「このやり方で本当に合ってるのかな?」と不安になるかと思います。そこで今回はテイスティングの目的や種類、流れなどをご紹介。マナーやNG行為についても解説します。
この記事を読めば、スマートにテイスティングができるようになること間違いなし。ワイン通として一目置かれるようになるかもしれません。ぜひ、レストランに行く前にマスターしてください。
いまさら聞けないテイスティングとは
テイスティングとは注文したワインに異常がないか?品質に問題がないか?を確認することです。具体的にはワインの見た目や香り、味をチェックします。テイスティングには以下の2種類があります。
ホストテイスティング
ホストテイスティングとはホスト(ゲストをもてなす人、会食の主催者、代金を支払う人など)が行うテイスティングです。レストランなどでワインを注文した際に行われます。ホストテイスティングの歴史は中世ヨーロッパ時代にさかのぼります。もともとは招待客に対してワインに毒が入っていないことを示す、毒味の意味合いがありました。
もちろん、現代ではそのような物騒な事件はほとんど起こりませんが、ワインが注文したものなのか?品質に問題がないか?をお客側と店側が確認する目的で、今もホストテイスティングの文化が残っています。
ブラインドテイスティング
ブラインドテイスティングは情報が伏せられたワインをテイスティングしてぶどう品種や産地、収穫年、製造方法などを推測します。ブラインドという名前がついていますが、目隠しをして行うわけではありません。ボトルを布などで覆ってワインを注ぎます。こちらはホストテイスティングとは異なり、ソムリエの技量や知識を図る目的で行われる、プロ向けのテイスティングです。レストランなどでお客がブラインドテイスティングを行うことはありません。
ワインエキスパート資格の試験やコンテスト(一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が主催するJ.S.A.ブラインドテイスティングコンテストなど)で行われています。
銘柄をピタリと当てるのはプロのソムリエでも難しいですが、興味がありましたら挑戦してみても良いかもしれません。
テイスティングの手順&作法
それではここからはテイスティング、主にホストテイスティングの流れとマナーについてご説明します。レストラン以外でもワインの香りや味を確かめるためにテイスティングを行うこともありますが、ソムリエとのやり取り以外は基本的に同じです。
以下の手順でテイスティングをすれば、ワインの品質をチェックできるようになりますので、おいしくワインを楽しむためにもぜひマスターしておきましょう。
1.注文したワインを確認する
まずはソムリエがワインのボトルを持ってきてくれます。ラベルを見せて銘柄や年代といった情報を教えてくれるので、ご自身が注文したもので間違いがないかどうかを確認しましょう。
同じ銘柄でも年代や熟成度合いによって色合いや香り、味が異なりますので、ちゃんと注文した通りのものかどうかであることが重要です。問題なければ次の段階に進みます。
2.ワインの色を確認する
ワインが注文したものと確認できたら次の段階です。ソムリエがテイスティング用のグラスにワインを少量注いでくれます。まずはワインの見た目をチェックしましょう。赤ワインの場合はななめ45°くらいに傾けて、白ワインやロゼは真横から見ます。
異物が混入されていないか?濁った色をしていないか?変色していないか?を確認してください。テーブルクロスなど白いものを背景にすると見やすくなります。
3.ワインの香りを確認する
次はワインの香りを2回に渡ってチェックします。まずはグラスを鼻に近づけて香りを確認し、それから円を描くようにグラスを回して空気を含ませるスワリングをしてから香りをチェックします。
あまり激しくスワリングするとワインをこぼしたり飛ばしたりするおそれもあります。軽くて問題ありません。スワリングは右利きの方は反時計回り、左利きの方は時計回りに、2~3回行います。
ワインから異臭がしないか?適正な香りが感じられるか?を確認しましょう。
4.ワインの味わいを確認する
香りを確認したらいよいよ味を確かめます。ワインを少し口に含み、舌で転がすようにじっくりと味をチェックしましょう。極端に酸っぱいなど味に異常がないか?口当たりが不快でないか?を確認します。
異常がなければ「問題ないです」「大丈夫です」とソムリエに伝えてテイスティングが完了します。あとはワインを楽しんでください。異常を感じたらその旨をソムリエに伝えましょう。伝え方については後ほど詳しく解説します。
テイスティングのマナー
テイスティングにもマナーがあり、これを知らないと恥ずかしい想いをすることになるかもしれません。ここからはテイスティング時に気をつけたいマナーについてご紹介します。ぜひ、以下のことについて意識してください。
味を理由に交換はNG!
テイスティングでは味見を行いますが、これはあくまでワインの品質に異常がないかを確かめるため。「味が気に入らないから」「思っていたのと違うから」という理由で交換を求めるのはNGです。場合によっては開栓したワインの代金を請求されることもあります。
こうしたトラブルにならないよう、事前にお店やソムリエにご自身やゲストの好みを伝えておく、注文しようとしているワインについて下調べしておくなどして、ワイン選びに失敗しないようにすることが大切です。
疑問を感じたらオブラートに包んだ質問を!
テイスティングをして異常を感じたとしても、直接的に伝えるのは考えもの。レストランに限らず「腐ってるんじゃないか?」「どうなっているんだ!」と声を荒げた上から目線のクレームはゲストや他のお客さん、お店のスタッフから人間性を疑われます。
「このワインはこのような香りなのですか?」「少し酸味が強いような気がします」というように、オブラートに包んだ形で伝えましょう。ソムリエがしっかりと確認してくれ、適切に対応してくれます。
音を立ててワインを飲むのはマナー違反
ソムリエやワイン生産者が音を立ててテイスティングを行っているシーンをテレビなどで見かけることもあるかもしれませんが、あれはあくまでプロとして品質を確かめるために行っているものです。ホストテイスティングでは音を立てて飲むのはNGです。試飲の際には静かに口に含みましょう。
テイスティングのよくある疑問を一挙解決!
ここまででテイスティングのやり方やマナーはご理解いただけたかと思います。以上でご説明したポイントを参考にしていただければ、スマートにテイスティングができるはずです。ここからはみなさんがよく抱かれるテイスティングに関する疑問をQ&A形式で解説していきます。
テイスティングするワインの条件は?
そもそもテイスティングはゲストにワインの中に毒が入っていないことをホストが証明するための毒味がルーツとなっています。そうした文化的な背景もあることから、ソムリエがワインを出してくれるようなお店であれば、基本的にどのワインでもテイスティングは行います。ワインの価格が高いから行う、安いから省略するというものではありません。
ワインを飲みこんでもいいの?
基本的にテイスティングで口に含んだワインは飲み込みます。ワインが明らかに腐っているなど異常がある場合はやむを得ないかもしれませんが、そもそもソムリエが事前にワインの状態をチェックしているので、そのようなケースはほぼないと言ってもいいでしょう。
ホストテイスティングを断ってもいいの?
ホストテイスティングは断っても問題ありません。ホストテイスティングは義務ではありません。「気軽にワインを楽しみたい」「2本目以降も毎回テイスティングするのは大変だから」あるいは「自信がないから」という理由で断られる方もいらっしゃいます。
その際にはソムリエに「お任せします」と伝えるとスムーズです。また、最初の1本だけテイスティングを行って「2本目からはお任せします」と伝えるのも問題ありません。
デキャンタージュや温度調節を依頼するタイミングは?
デキャンタージュ(デキャンダという容器にワインを移して空気に触れさせること)や温度調整を依頼するのは問題ありません。ホストテイスティングの後に、「もう少し冷やして飲みたいのですが」というように要望を伝えましょう。また、「もう少し冷やして飲むとどうですか?」というようにプロのソムリエに相談する形でもスムーズです。
試飲で口の中をリセットする方法は?
ワインを飲んだ後は余韻が口の中に残ります。別のワインを試飲する場合は水を飲むことで、リセットすることができます。
【まとめ】テイスティングは肩肘張らなくてOK!
テイスティングはあくまでワインの品質をチェックするもの。とはいえ、ソムリエが事前にコンディションを整え、注文通りのワインを良い状態で出してくれるので、まず異常はないでしょう。肩肘張らずに臨めば問題ありません。大まかな流れや所作を押さえておけば、スマートなテイスティングができるようになります。自信がなければ今回の記事を参考に、事前に練習してみるといいかもしれません。
大切なのはワインを味わうこと。リラックスして楽しい時間をお過ごしください。