エミリアーナ・ヴィンヤーズはぶどうのオーガニック栽培・ビオディナミ農法を実践し、チリ最大の有機栽培畑を所有するワイナリーです。
カサブランカヴァレーを中心に、マイポヴァレー、カチャポアルヴァレー、コルチャグアヴァレー、ビオビオヴァレーの各ぶどう産地に自社畑を922ha、契約畑334haを管理し、オーガニック認証を受けた畑を1200haも所有しています。
設立されて10年が経った1986年ころ、消費者のニーズに応える形で、コルチャグアヴァレーにあるワイナリーを100%オーガニック栽培及びビオディナミ農法に変えました。
2003年オーガニック栽培のブドウを使った「コヤム2001」を発表し、その2年後にはビオディナミ農法で造った「ジー2003」をリリースしたオーガニックワインのパイオニア的な存在です。
自然に対する最大の敬意を表す事は、最高品質のワインを生み出す事であるという信念を持ち、「オーガニック栽培そしてビオディナミ農法こそが、ワイン造りに新しいモチベーションを与えてくれます。」と創業者は自然農法への強い思いを語っています。
エミリアーナのワインメーカー ノエリア氏
一般的にオーガニック栽培(有機農法)とは、化学肥料や農薬、除草剤の類を使用せずに栽培することを指し、ワインに関して言えば、遺伝子操作や放射線処理をせずに栽培されたぶどうであるという条件も該当します。
一方で、安全面への配慮から、ワインが腐る・劣化しやすくなることを防止するために、ごくわずかな量であれば添加物の使用も認められています。
化学農業の場合、土地が枯渇していったり、殺虫剤などによる健康被害が起きたりする可能性がありますが、オーガニック栽培ではその心配はありません。
それだけに、天候の影響を受けやすかったり、輸送や保管の際に温度管理がシビアであったりと通常のぶどうより手間がかかるため、生産コストが上がってしまいがちです。しかし、ぶどう品種やその地域の土壌や気候の影響を感じやすく、環境や人体にやさしいので安心して飲めるといった大きなメリットもあります。
ビオディナミ農法(別名バイオダイナミック農法)とはドイツの思想家であるルドルフ・シュタイナーが提唱した「自然な環境で土壌と植物を保全し、価値を与える取り組み」という考え方から生まれた農法です。
他の農法との決定的な違いは徹底した条件での栽培環境です。化学物質を使わないという面では次の順で条件が厳しくなります。
①一般的なワイン⇒②リュットレゾネ(減農薬農法)⇒③オーガニック農法
ビオディナミ農法はオーガニック農法に加えて、自然由来の物質を使った肥料を使うことと、天体の動きに合わせた栽培を行うという方法で自然の潜在的なパワーを引き出す狙いがあります。
そのため、莫大な労力がかけられ、神秘的なエネルギーを秘めたぶどうによるワインの味わいと香りは一線を画します。味わい深いワインを追求する方、そしてワイン初心者の方も、ぜひ一度オーガニックワインの世界を感じてみてください。